オペラ「 リゴレット」鑑賞


オペラは毎年秋(9月)に新しいシーズンが始まりますが、私の今シーズン最初のオペラとして「リゴレット」を観に行きました。「リゴレット」はイタリアを代表するオペラ作曲家ヴェルディによる作品で、「椿姫」「アイーダ」などと並ぶ彼の代表作と言われています。


とは言え、オペラにある程度詳しい人ならともかく、オペラをよく知らない人にとって「リゴレット」という名前はあまり耳馴染みがないのでは?と思います。私自身、ニューヨークに来てオペラを観るようになるまで聞いたことがありませんでした。


ただ、この「リゴレット」には非常に有名な「女は気まぐれ(女心の歌)」という歌があります。昔からコマーシャル等で頻繁に使われてきたので、聞いたことのない人はいないのではないでしょうか。(ちなみに、私が初めてこの曲を聞いたのは、マットか何かのCMでした...)

知っている曲がひとつあるだけでも、オペラ鑑賞への期待は膨らみます。


1. 基本情報

  • 作品名:Rigoletto(リゴレット)
  • 作曲:Giuseppe Verdi(ジュゼッペ・ヴェルディ)
  • 演出:Bartlett Sher
  • 観劇日時:2022年11月17日 午後7:30 〜 10:15(3幕、30分休憩1回含む)
  • 劇場:Metropolitan Opera (30 Lincoln Center Plaza)



2. あらすじ

舞台は 16世紀、イタリアのマントヴァ。主な登場人物は、マントヴァ公爵、公爵に仕える道化師リゴレット、リゴレットの娘ジルダ、そして殺し屋スパラフチーレ。以下、簡略化したあらすじです。

第1幕

女好きのマントヴァ公爵は、女性を次から次に弄ぶが、最近見かける若い娘のことが気になっている。娘の後をつけた公爵は、それが自分に仕えるリゴレットの娘ジルダだと知る。リゴレットはジルダを愛するあまり、外出もさせないようにしていた。が、リゴレットの留守中に公爵がジルダの前に現れ、うぶなジルダを口説いてとりこにする。

一方、公爵の廷臣達はジルダをリゴレットの愛人と勘違いしており、ジルダを公爵に献呈しようと計画し、リゴレット宅に集結してジルダを誘拐してしまう。


第2幕

廷臣達がジルダを公爵の寝室に連れてくると、公爵は喜んで寝室へ入る。そこへリゴレットも登場し、「娘を返せ!」と探し回る。廷臣達は、ジルダがリゴレットの愛人ではなく娘だったことに驚く。

寝室から逃げ出したジルダは、リゴレットと再会してこれまでの経緯をすべて話すが、公爵への想いが変わらないことも伝える。リゴレットは公爵への復讐を誓う。


第3幕

殺し屋スパラフチーレの宿屋。そこで公爵は、女はみな気まぐれと歌いながら、スパラフチーレの妹マッダレーナを口説く。宿屋の外でそれを聞いたジルダは絶望する。リゴレットはジルダを慰め、男装してヴェローナへ向かうように言う。

リゴレットはスパラフチーレに公爵の殺害を依頼する。ところが、まだ公爵に惚れているジルダは自分が身代わりに殺されることを決心し、男装のまま宿屋を訪れる。

リゴレットはスパラフチーレから公爵の死体が入った袋を受け取る。袋を川へ捨てようとした時、遠くから公爵が「女は気まぐれ」と歌う声が聞こえ、驚いたリゴレットが袋を開けると、中には瀕死のジルダがいる。ジルダは、愛する人の身代わりなったことを父に告げ、息絶える。


3. 感想

細かい部分を省略したあらすじでは分かりにくいかもしれませんが、純真な若い娘が色男に騙され、挙句の果てには身代わりとして殺されてしまうという、何とも救いのないひでぇ〜話です...。約170年前に作られたオペラのストーリーに文句を言ってもしょうがないのですが、後味の悪い最後でした。

それでもこのオペラが長い間人気作として上演されているのは、とにかく各場面でドラマを盛り上げる音楽の力によるものだろうと思います。


有名曲の「女は気まぐれ(La donna è mobile)」は、第3幕の最初に公爵(テノール)によって歌われます。私が子供の頃にコマーシャルで聞いた日本語の歌詞は、

 風の中の 羽のように

 いつも変わる 女心

 ...

でした。公爵の女たらし全開の歌詞で、女性が聞いたら怒るんじゃないかと思いますが、歌のフレーズは一回聞くと忘れられません。

Wikipediaによれば「初演終演後にはヴェネツィアの街の通行人、ゴンドラの漕ぎ手の大多数がこの歌を口ずさんでいた」とあり、発表された当初からすごい人気になったんだなぁと、音楽の普遍性に納得です。

この歌以外にも、第1幕でジルダが歌うアリア「慕わしき御名」や、第3幕での公爵・マッダレーナ・リゴレット・ジルダによる4重唱「美しい愛らしい娘よ」など美しい歌がありますが、終わってみると「女は気まぐれ」の印象があまりに強く、他の歌の記憶が吹っ飛んでしまいました。


という訳で、ストーリーの観点から私は「リゴレット」をそれ程勧める気になりませんが...、「女は気まぐれ」を聞くだけでも満足できる、また総じて音楽が素晴らしいオペラだと思いました。