ミュージカル「Some Like it Hot」鑑賞


ブロードウェイ・ミュージカル「Some Like it Hot」を観に行きました。

クラシック映画がお好きな方はご存知でしょうが、同じタイトルの「Some Like it Hot(邦題:お熱いのがお好き)」というコメディ映画があり、そのストーリーをベースに制作されたミュージカルです。ブロードウェイでのオープニングは2022年12月で、比較的新しいショーになります。

今年の第76回トニー賞では、ミュージカル部門の作品賞を始めとする多くの部門にノミネートされ、主演男優賞・振付賞を含む4部門を受賞しました。トニー賞での評価が示しているとおり、今公演されているミュージカルの中でも注目度が高く、私の周りでも観た人の間で面白いと話題になっていました。

私は若い頃から映画「お熱いのがお好き」の主演女優だったマリリン・モンローが大好きで、この映画をこれまでに何度も観ているので、どのようにミュージカル化されているのか?とても興味がありました。


1. 基本情報

作品名:Some Like it Hot
脚本:
Matthew López and Amber Ruffin
作詞作曲:Marc Shaiman and Scott Wittman

観劇日時:2023年7月29日 午後8:00 〜 10:30

劇場:Shubert Theatre (225 W 44th Street, New York, NY)

https://somelikeithotmusical.com/




このシューベルト劇場には約1500席があり、オンブロードウェイの各劇場の中では大きな方です。オーケストラ席、メザニン席、更に上階のバルコニー席まであります。20世紀初頭に造られたそうで、かなり歴史を感じさせる内装でした。

2. あらすじ

最初に書いたとおり、同名映画のストーリーをベースにしているものの、若干の違いがあります。

前半

舞台は1920年代、禁酒法時代のシカゴ。

ミュージシャンのジョー(サックス奏者)とジェリー(ベース奏者)は、マフィア達による殺人現場をたまたま目撃してしまう。マフィアに追われる二人はシカゴから逃げ出すため、サンディエゴへ向かう女性だけの楽団に紛れ込むことにする。二人は女装して、それぞれジョセフィンとダフニという女性名を名乗る。

サンディエゴへ向かう列車でジョー(ジョセフィン)は楽団の歌手シュガーを好きになり、サンディエゴのホテルに到着すると、映画脚本家の男キップに成りすましてシュガーの興味を引こうとする。一方、ジェリー(ダフニ)はホテルで大富豪のオズグッド3世に見染められる。

後半

脚本家キップに扮するジョーは、シュガーをヨットのディナーに招待し、二人は愛し合う。一方、ジェリー(ダフニ)は女装した自分を心地良く感じ始め、求愛してくるオズグッド3世に惹かれ、二人は婚約する。

そんな時、滞在中のホテルにあのマフィア達が現れる。ジョー(ジョセフィン)とジェリー(ダフニ)は逃げる準備を始め、ジョーはキップの別れの手紙をシュガーに渡す。

マフィアはジョーとジェリーの正体に気づいて二人を追いかける。またマフィアを追うFBIも現れる。ゴタゴタの追跡劇の末、マフィア達は遂にFBIに逮捕される。

最後にジョーはシュガーと、ジェリー(ダフニ)はオズグッド3世と、それぞれ結婚する。


3.感想など

映画と同様にテンポの良いドタバタコメディーに仕上がっていて、楽しい歌とダンス(特にタップダンス)が続き、観客を盛り上げていました。

私自身もすごく楽しみましたが、どうしても映画と比較してしまいました...。もちろん違っていても良いのですが、特に気になった違いが数点ありました。


まず、映画でマリリン・モンローが演じていたヒロイン(シュガー)役を黒人女性が演じていたこと。人種についてどうこう言いたいのではなく、映画でのマリリンのイメージがあまりに強すぎるために、とにかく映画とは別物として頭を切り替える必要がありました。

次に、映画でのジェリーはあくまで逃走するために仕方なく女装していたのですが、このミュージカルでのジェリーは女装することで女としての自分に目覚め、最後はオズグッド3世を本当に好きになるという展開でした。「自分らしくあれ」というメッセージが本ミュージカルのキーだったように思えました。ジェリー(ダフニ)役を演じたJ. Harrison Gheeという俳優はNon-binary(男性・女性のどちらにも当てはまらない)であることを自認しており、トニー賞(主演男優賞)を受賞した初めてのNon-binaryの俳優となりました。こういったストーリーも配役も、多様な性的指向や性自認を尊重する現代の風潮を反映していると思いました。

最後に、映画では「Running Wild」「I Wanna Be Loved by You」「I’m Through with Love」という3曲をマリリンが歌い、どれも素晴らしく印象的な曲だったのですが、このミュージカルは全く別のオリジナルの音楽によって構成されていました。ミュージカルの音楽も楽しくて良かったのですが、個人的には映画で使われていた耳馴染みのある曲も入れて欲しかったな〜と思いました。


...と、映画への思い入れが強い分アレコレと思うところもありましたが、総じて楽しいミュージカル・コメディであり、観劇後の気分も爽快でした。


最後に、映画「Some Like it Hot」の話も少しだけ...