ミュージカル「Girl from the North Country」鑑賞


もう半年近くブログをご無沙汰していました...

最近色々なショーを見る機会があったので、忘れないうちにいくつかここで紹介したいと思います。


6月17日(金)に「Girl from the North Country」というミュージカルを観ました。ボブ・ディランの楽曲で構成されている所謂「ジュークボックス・ミュージカル」で、タイトルも彼が作った楽曲「Girl from the North Country(北国の少女)」から来ています。

と紹介しながら、私はボブ・ディランの曲を全くと言っていい程知りません...数年前にノーベル文学賞(!)を受賞して話題になったし、音楽史に残るすごい人なのでしょうが、私にとっては名前は知っているけど曲は知らないシンガー・ソングライターの代表格という感じです(ここで無知を晒す...)。

このミュージカルはアメリカを舞台にしていますが、面白いことにイギリスで制作され、初演もロンドンだったようです(2017年)。ニューヨークでは2020年3月にオン・ブロードウェイでの公演が始まりましたが、不運にもその直後にコロナ・パンデミックのせいで休止となりました。

2021年10月に再開したものの、本年6月19日(日)をもってオン・ブロードウェイの公演が終了するとのことで、私は何とかギリギリで観に行くことができました。


1. 基本情報

作品名:Girl from the North Country
脚本:Conor McPherson

作詞作曲:Bob Dylan(ボブ・ディラン)

観劇日時:2022年6月17日 午後8:00 〜 10:30

劇場:Belasco Theatre (111 W 44th Street, New York, NY)


2. あらすじ

舞台はミネソタ州のDuluthという田舎町(ボブ・ディランの故郷)にある小さな宿。大恐慌の影響が色濃く残る1934年の冬。

宿の主人ニックは経営に生き詰まり、借金に苦しんでいる。妻のエリザベスは認知症を患っていて、時折爆発する感情をコントロールできない。息子のジーンは酒浸りになり、養女のマリアンヌは妊娠していて父親が誰かを明かさない。

宿には聖書を売る宣教師や元ボクサーなど様々な人が集い、それぞれに問題や不安を抱えている。宿の食堂を中心に、行き交う人々の人間模様が展開される。

話が進行する中で、登場人物の心情を映し出すようにディランの曲が歌われる。


3. 感想など

最初に書いたとおり、ボブ・ディランの楽曲を使ったミュージカルで、ディランの故郷が舞台になっていますが、ストーリーは彼の人生と全く関係ありません。そこが以前のブログで紹介したミュージカル「ティナ」とは違うところです。

あらすじから分かるように暗く重いストーリーで、少なくとも私がこれまで見てきたミュージカルと比べると異色の作品です。その中でも登場人物の会話に笑える箇所が多く、そこは救いに感じました。

とにかくセリフが多く、あまり予習して行かなかった自分には、ストーリー展開を追えなかったところがも多々ありました。さらに、ボブ・ディランの曲も知らないので、曲がストーリーとどのようにリンクしているかもよく分からず...。ただ、ネットで本作を観た方の感想によると、必ずしも各場面の状況とそこで歌われる曲のイメージが合致しているという訳でもないようでした。「Play with Music」とも呼ばれているらしく、確かに演劇の合間に音楽が挿入されていると考える方がしっくり来ます。


と、私の感想はあまりポジティブに聞こえないでしょうが...、キャストの皆さんは熱演されていて、歌も素晴らしかったです。特に、エリザベス役を演じたMare Winninghamという女優さんが好演していたと思います。実際、今年のトニー賞では本作品で主演女優賞にノミネートされていました。聞くところによると、彼女は公演後の出待ちでサインを求めてきた観客一人一人に丁寧に対応していたようで、気さくな人でもあるようです。


残念ながらニューヨークではもう本作を観ることができませんが、きっとどこかの国で(日本でも?)公演されるのではないでしょうか。