コーラス活動 in ニューヨーク


私は生来歌うことが大好きで、ニューヨークではコーラス隊に所属して歌っています。New York City Gay Mens Chorus(以下NYCGMC)というコーラスです。

参加したきっかけは、同じように歌うことや音楽が好きなゲイの友達が欲しいと思ったからですが、何だかんだでもう8年くらい続けています。

親しい友達には私のコーラス活動について話していて、コンサートにも何度も来てもらっていますが、それ以外の知り合いや同僚などにはあまり話していません。別に隠している訳ではないのですが、コーラスのことを話す前にもっと話すべきことができてしまうので(笑)、何となく積極的には言っていません。


NYCGMCの紹介

http://www.nycgmc.org/

NYCGMCは、1980年に設立されたゲイ男性によるコーラスです。音楽を通して、LGBTQコミュニティへの理解を広げ、偏見や差別に立ち向かうことを目的としたNon-profit Organizationです。ニューヨーク市以外にも、全米の主要都市にはだいたいゲイコーラスが 存在するようです。

現在のアクティブな所属メンバーは約260名。私が参加したときから若干増えています。ゲイ男性と書きましたが、ストレート男性と女性も若干名所属しています(笑)。新規メンバーは年2回のオーディションを経て選ばれます。

オーディションはそんなに厳しいものではなく、とてもフレンドリーな雰囲気の中で行われます。とは言え、音程がちゃんと取れることと楽譜が読めることは必要になります。私ももちろんオーディションを受けて入ったのですが、今はコーラスの知名度が上がったせいか、競争率がずっと高くなっているようです。

主な活動は年3回のコンサートで、毎年3月、6月(Prideコンサート)、12月(ホリデーコンサート)に開催されます。リハーサルは毎週月曜夜に行われ、さらに月一回土曜にリハーサルがあります。コンサートが迫った週には、バンドを入れたドレスリハーサルも2回程あります。

コンサートの他にも、チャリティイベント、企業のパーティー、結婚式、有名人のショーのゲストなど、様々な機会で歌っています。(こちらは任意の参加。)

このように、NYCGMCの活動に参加すると、かなりの時間を割く必要が出てきます。趣味で歌ってます〜という以上のコミットメントを要するので、参加を続けることが難しくて辞めていく人もいますが、私の知る限り多くのメンバーは活動を楽しんでいます。ここに自分の居場所を見つけ、運営に長年参加している人もたくさんいます。


NYCGMCでの思い出

コーラスに入ってから8年間、たくさんのコンサートで歌いました。自分のパートを暗譜し、歌詞も暗記し、さらにちょっとした振り付け(!)も覚える必要があるので、最初の頃は毎回覚えるのが大変でした...が、それも終われば良い思い出です。


個人的に一番思い出深いのは、2015年12月にNYフィルハーモニックのホリデーコンサートの客演としてNYCGMCが招待され、リンカーン・センターのDavid Geffin Hallで歌ったことです。2015年にアメリカで同性婚が合法化されたこともあって、我々が呼ばれたようです(という噂でした)。

このコンサートの前の週にはNYCGMC自体のホリデーコンサートもやったので、同時期にたくさん曲を覚える必要があって大変でしたが、私はこれまでで一番真剣に練習に取り組みました。ちなみに、NYフィルとのコンサートでは、伝統的なクリスマスのキャロルからマライア・キャリーのあのクリスマスの曲まで、、、硬軟織り交ぜて歌いました。

本番の数日前にNYフィルと一緒のリハがあったとき、自分達が練習してきた曲がオーケストラの美しいアレンジで演奏されるのを聞いて、鳥肌が立ちました。本番当日(12月18日、19日)は、ホールの観客の数や雰囲気に圧倒され、緊張してあっという間に終わった感じでしたが、コンサートの一番最後に客席の通路に並んで、観客と一緒にクリスマスの賛美歌(Silent NghtやJoy to the Worldなど)を歌ったときの暖かい会場の雰囲気は今も忘れられません。

このコンサートが毎年できるといいな!と思ったのですが、それ以降我々は呼ばれていません(泣)。


また、2019年(去年)の6月は、前回のブログでも触れたとおり、Stonewall Innの事件から50周年記念のPrideだったため、コーラスでも様々なイベントがありました。

まず、6月27日(木)には、カーネギーホールでコンサートを行い、Stonewall Innの事件がどのように起きたか、それが現在にどのように繋がってきたかを歌う一連の曲「Quiet No More」を、全米からのLGBTコーラスと一緒に合唱しました。当日ステージ上で歌った参加者は、確か600名以上だったとのこと!本番、私は大勢に囲まれて指揮を見るのも一苦労でしたが、なかなか貴重な経験でした。

当日のパフォーマンスの一部の動画を見つけました。⇩

https://www.youtube.com/watch?v=RTiOGDV4a4M


その翌日28日(金)と29日(土)には、何とヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)のマディソン・スクエア・ガーデンでのコンサートにNYCGMCがゲストとして招待され、バックコーラスとして(3曲だけですが)歌いました!ヒュー・ジャックマンと言うと俳優として有名なので、彼のコンサート?と思う人も多いでしょうが、これまで「レ・ミゼラブル(Les Misérables)」や「グレイテスト・ショーマン(The Greatest Showman)」といったミュージカル映画で主演しているように、歌の訓練もしっかり受けた俳優さんです。

コンサートで歌われたのも、その2つのミュージカル映画からの曲が多く、その他は人の曲でした(持ち歌が少ないのでしょうがないですね)。ちなみに、我々コーラスが一緒に歌ったのは、映画「レ・ミゼラブル」から「One Day More」、映画「グレイテスト・ショーマン」から「A Million Dreams」、そして「Dear Evan Hansen」というミュージカルから「You Will Be Found」の3曲でした。

ヒューが「You Will Be Found」を歌ったのは、「グレイテスト・ショーマン」の曲を書いたパセク&ポールというソングライターチームが、ミュージカル「Dear Evan Hansen」の曲も書いているから、という繋がりのようです。(この「Dear Evan Hansen」については、以前のブログで感想を紹介しています。)コンサートにはパセク&ポールの2人もゲストとして登場し、ヒューから紹介され、ピアノ演奏もしていました。さらに、「グレイテスト・ショーマン」のテーマソング「This Is Me」も、キアラ・セトル(Keala Settle)がゲストで登場して歌うなど、盛りだくさんのコンサートでした。

まさか、マディソン・スクエア・ガーデンのステージ上で、ヒュー・ジャックマンと一緒に、約1万9千人の観客の前で歌う機会があるとは!人生何が起こるか分かりません。忘れられない2日間になりました。ただし、コンサートに出演したNYCGMCメンバーは、本番が終わるまでSNSでその情報を共有してはならず(我々はシークレットゲストだからということで...)、また会場内で(リハ時も含め)写真を撮ったり、それを公開することも禁止されました。唯一、本番前にヒューと一緒に撮影したグループ写真のみSNSでの公開を許可されました。


そして、翌30日(日)には、Stonewall Inn事件50周年記念のPride月間の最後を飾るNYCプライド・マーチ。そのため、参加団体や人数がとても多かったようで、我々NYCGMCは午後4時頃にスタート地点に集合だったのですが、待ち続けて出発は午後9時頃になり、マーチを終えたのは11時半頃でした...。あまりの待ち時間の長さに、次の予定がある人や待ちくたびれた人達は次々と去っていきました。マーチの沿道も、かなり遅い時間だったためか人はまばらでした(泣)。ここ近年は、プライド・マーチのスポンサーとなっている大企業がマーチの順番で優遇されていて、小さな団体が後回しになっている、という批判も聞きます。


2020年のNYCGMC

さて、思い出話に勝手に花を咲かせて長くなりました(汗)。

2020年はコロナ感染拡大のせいで、残念なことに年内のコンサートやイベントが全てキャンセルとなってしまいました。年始から3月下旬のコンサートに向けて練習を重ねていたのですが、本番の2週間前に延期が決まり、結局は中止になりました。

我々だけでなく、音楽・演劇などのパフォーマンスを届ける団体にとっては、今はとても難しい時期です。以前のブログでも少し触れたように、コーラスのような活動は、コロナの感染を一気に拡大させる危険を孕んでいます。これからどのように活動を続けていくか、それぞれがCreativeになって新しいチャンスを模索していかなければならないようです。

先月、NYCGMCはビデオを公開しました。ニューヨークは悲しいことに世界で最も甚大なコロナの被害を受けた都市となりましたが、これから復活して新しく美しい街を築いていけるように、という願いを込めて「Beautiful City」という歌を歌いました。以下、その動画のYouTubeリンクになりますので、お時間があればご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=Q2KGlyvKN4Y

また、コンサートを行う機会を失くして厳しい状況の中、NPOとして寄付を募っています。もし我々の目的に賛同し、歌声を気に入って頂けたなら、コーラスの公式ページ(このブログの最初にあるリンク)からお気持ちだけでも頂けると嬉しいです!