ミュージカル「ティナ」鑑賞


コロナ禍以降で初めてブロードウェイミュージカルを観に行きました。以前(2019年9月)ブログに書いた「Dear Evan Hansen」以来約2年ぶりです!

9月にブロードウェイの劇場が順次再開し、何か観に行きたいと思いつつ時が過ぎていきましたが、友達の提案で歌手ティナ・ターナーの半生を描いたミュージカル「ティナ 」を観ることにしました。

このミュージカルは、2018年にロンドンのウェストエンドで始まって人気になり、2019年11月にニューヨークへやって来たようです。正直、ティナ・ターナーの曲で私が知っているのは2、3曲程度でしたが、レビューを見るとかなり良い評判で期待も高まりました。


私が観に行ったのは12月4日の公演でした。当日は、劇場への入場前に並んでワクチンの接種証明(スマホのアプリ画面もしくは接種証明カード)とIDを係員に提示し、入場後別の係員にチケットを提示するという流れでした。劇場内では常時マスクを着用する必要がありました。

このブログを書いている現在(12月20日)、出演者がコロナに感染して公演がキャンセルになったことでも話題になっています。(私の回はキャンセルにならなくて良かった...)


1. 基本情報

作品名:Tina (The Tina Turner Musical)
脚本:Katori Hall, Frank Ketelaar, Kees Prins
監督:Phyllida Lloyd

作詞作曲:Various (ティナ・ターナーの楽曲)

観劇日時:2021年12月4日 午後8:00 〜 11:00(30分休憩1回)

劇場:Lunt-Fontanne Theatre (205 W 46th Street, New York, NY)

2. あらすじ

ティナ・ターナーの波乱万丈の半生を、ティナ自身の数々のヒット曲と共に描く「ジュークボックス・ミュージカル」です。以下、簡略化したあらすじです。

前半

ティナはアメリカ南部テネシー州で生まれ育つ。少女時代、聖歌隊で歌うことを楽しむが、両親の仲は悪く、母親は姉だけを連れて家を出て行く。ティナは祖母と暮らしながら幼くして働く。成長してからティナは母親・妹と再会し、ミズーリ州セントルイスで働き始める。

ティナは、ナイトクラブでアイク・ターナー率いるバンドに夢中になり、ステージで歌唱力を示してシンガーとしてバンドに加入する。まもなくティナはアイクと結婚し、一緒にヒット曲を生み出してスターダムを駆け上がる。

(「River Deep Mountain High」や「Proud Mary」等が歌われる。)

しかし、ティナはアイクのアルコール依存症、浮気、暴力(DV)に苦しみ、彼らの人気も下降していく。ティナはDVに耐えきれず、アイクのもとを去る。


後半

アイクと別れた後、ティナは子供を育てながら、歌手としては恵まれない時代を過ごす。以前のヒット曲もアイク名義の著作権となっていて歌えない。

80年代になり、新しいマネージャーのロジャーと共に新たな音楽を模索し、ロンドンに渡る。ソロとしてヒット曲を出して復活を果たす。(「What’s Love Got to Do with It?」など。)

年下のドイツ男性Erwinと恋に落ちる。その愛に支えられながら、ブラジル・リオのコンサートで18万人の観客の前で歌う。(「The Best」を歌って幕。)

アンコールでは、「Proud Mary」等を歌う。


3. 感想など

舞台は、座ったティナが「南妙法蓮華経...」とお題目を唱えるところから始まります。日本人はいきなり「えっ?」と度肝を抜かれると思いますが...、ティナが創価学会の信者であることはよく知られています。

お題目を唱えるシーンは何度かあり、辛く苦しい時にティナの精神的な支えになっていたことが伺えます。どんな宗教であれ、それが心に救いを与えてくれるのは素晴らしいことです。


観客の年齢層は高め。やっぱり長年ティナの音楽を楽しんできた人が多かったのでしょう。劇中でヒット曲が始まる度に歓声が上がり、みんなノリノリでした。

ドラマティックなストーリー展開もあって、観客はかなり感情移入していたように思います。ティナのセリフに対しても、時々拍手や歓声が起こったりしていました。(「私はロックンロールがやりたいのよ!」と言うティナに、観客が「イェーイ!」みたいな。)

一方、アイクのティナに対するDVシーンは目を背けたくなる程で(もちろん実際に殴ってはませんが)、悲鳴のような声を上げる人もいました。


ティナ・ターナーのような唯一無二の個性的シンガーの役をやるのは荷が重いのではないか?と考える人も多いです。が、ティナ役の女優さん(Nkeki Obi-Mekekwe)は歌も演技も素晴らしかったです!ロンドン公演の開始時からずっとティナ役をやっているとのこと。長年のティナのファンがどう思うのかは分かりませんが、私には生き写しのようにも見えました。

ティナの音楽をよく知っていれば、もちろんミュージカルをより楽しめるでしょうが、私のようにそれ程知らなくても、正直全く知らなくても、その音楽の力強さに圧倒され、ノリノリで楽しめると思いました。


ショーの最後は、ブラジル・リオのコンサートで代表曲のひとつ「The Best」を歌うシーンで、更にアンコールでだめ押しのように「Proud Mary」を歌い、会場は総立ちで大盛り上がりでした。

私は、悲しい結末のお話も好きだし、いつもハッピーエンドが良いとは思いませんが、ショーが打ち上げ花火のように盛り上がって終わると、その興奮の余韻を引きずって帰れるのが良いですね。

「ティナ」のように、既によく知られた楽曲で構成されるジュークボックス・ミュージカルが最近増えているように思います。有名どころではアバの「マンマ・ミーア」、他に私が観たのではキャロル・キングの「ビューティフル」等がありますが、最後にみんなよく知っている曲が歌われると、盛り上がりもひとしおです。


という訳で、想像以上に良かったミュージカル「ティナ」。おススメです!