アメリカ大統領選挙の一週間


アメリカ東部時間の11月7日(土)の午前11時半頃、CNNで民主党のジョー・バイデン大統領候補の当選確実が報じられました。


その直後から、私が住むアパートの近所では歓声が沸き起こり、通り過ぎる車はクラクションを鳴らして祝福していました。民主党支持者が圧倒的に多いニューヨーク市では、街中に人だかりができて盛り上がり、まるで戦争にでも勝ったような歓喜に包まれました。久々に暖かく、天気も良い一日でした。


それにしても、刻々と伝えられる選挙の行方に翻弄された一週間でした。前回のブログで、事前調査の情報をもとに「バイデン候補が激州も含めて優位なまま進んでいるようで、普通に考えればほぼ決まり...」なんて書きましたが(汗)、今回の大統領選でまたしてもメディアの予想はかなり外れ、結果が何日も決まらない大接戦になりました。私自身も含め、アメリカに住む人の気持ちはローラーコースターのように上下したと思います(笑)。

自分の記録のためにも、一週間を振り返ってみます。


選挙前

そもそも、私はアメリカの市民権を持っていないので、アメリカでの選挙権はありません。なので、これまでは選挙結果がどうであれ対応して生きていくのみ、というスタンスでした。

しかし、トランプが大統領になると、彼は自身の保守的な支持層を意識して、移民を制限したりLGBTの権利を後退させるような政策を推し進め、私のようなマイノリティがアメリカで生き辛くなる状況を作っていきました。今夏の「Black Lives Matter」の人種差別反対運動に対しても、強権的な姿勢で対処しました。

また、株価が上がるなど良いことがあれば自分の手柄、悪いことがあれば人のせいにし、自分を批判する人達やメディアをTwitterなどで罵る姿を、毎日のようにニュースで聞かされることにもうんざりでした。

さらに、決定打として、新型コロナウィルスの感染拡大に対しては、専門家の見解を聞かず、ウィルスはすぐなくなるだの科学に基づかない言動を繰り返し、人命軽視とも思える態度で、当初感染が爆発していたニューヨークで生活している私達をとても不安にさせました。コロナが広がり始めた時点でどんな対応が正しいかを判断するのはどの国でも難しく、自分の政権時にパンデミックが起こったのは不運でもあったと思いますが、一国のリーダーとして責任を持って危機に取り組む姿勢を見せて欲しかったと思います。

私としては、あと4年間トランプを見続けるのは我慢できないという思いで、政権交代を望むようになりました。周りの友人の多くも、BLMのデモに積極的に参加したり、大統領選挙でのバンデン候補の支援をFacebook等で呼び掛けたりしていて、そういった影響も受けました。

ニューヨーク市では、先月末に期日前投票が始まってから、毎日のように投票所に長蛇の列が出来ていました。今回の選挙で必ず意思表示をしなければならないという有権者の強い意識を感じました。世論調査ではトランプに不利な状況だということで、流石にトランプの二期目はないだろうと期待していました。


11月3日(火)投票日

3日の投開票日には、東海岸の午後7時頃から順次投票が締め切られ、開票が東部→中部→西部と進んでいくことになっていました。

開票の開始が近くにつれ、私は仕事中ながら気がそぞろになり...いくつかの選挙予測サイトで激戦州の結果予想をチェックしました。大抵の激戦州では、トランプが追い上げてはいるもののバイデンがリードを維持していて、そんなに心配する必要もないだろう、と気持ちを落ち着かせました。

そのうち、東部各州の開票速報が順次入ってきました。東部の注目の激戦州としては、まず毎回接戦になるフロリダ州、そしてジョージア州、ノースカロライナ州、オハイオ州などです。

フロリダ州(選挙人29)は、トランプがここで負ければもう終わりかと言われていた州で、開票当初はバイデンがリードしていたので、ここで決まるといいなと思っていたのですが...その後にトランプの票が急速に伸びて巻き返し、日付が変わる頃にはトランプの勝利が確実になったと伝えられました。

オハイオ州(選挙人18)でも開票してから結構あっけなくトランプの勝利が確実になり、ジョージア州(選挙人16)・ノースカロライナ州(選挙人15)でも票差は小さいながらトランプがリードしていました。

そして、共和党の牙城ながら今回はバイデンがかなり善戦するかもと言われた南部テキサス州でも、実際にはトランプが余裕のリードで勝利しました。

さらに、もともと民主党の地盤ながら2016年の大統領選でトランプが僅差で勝ったラストベルトの3州、ウィスコンシン州(選挙人10)、ミシガン州(選挙人16)、ペンシルバニア州(選挙人20)でも、事前の予想に反して全てトランプがリードしている...

多くの州では、まず当日投票分(共和党に有利)や期日前投票分が開き、その後郵便投票分(民主党に有利)が開くことから、最初はトランプがリードし、段々バイデンが追いつく展開になるのでは?と選挙前から言われてはいましたが、これ程どの激戦州でもトランプがリードするとは思っていませんでした。

とにかく、バイデンの圧勝というシナリオは消えました。

中部・西部の開票も段々と進んできて、共和党が伝統的に強いアリゾナ州(選挙人11)でバイデンがかなりリードしていると報じられれたものの、それ以外は総じてトランプが優勢のまま夜が更けていき、私はここで寝ることにしました。

が、横になってもうまく寝付けず、自分が思っていた以上に頭が大統領選で埋め尽くされ、今の状況に打ちのめされていることを痛感しました(涙)。このままのペースで開票が進み、トランプが大統領2期目をやることになったら、果たして自分はアメリカでの生活に耐えられるのか?と考えました。

まぁ、もしトランプになったとしても今までどおりで生活に大して変化はない、(ブログにも投稿しているように)株式投資をやっている点からはトランプの方が株価が上がって良いかもしれない...いや、選挙結果が自分の期待に反するものだったとしても、自分の信念を簡単に曲げたり諦めたりするべきではない、などなど...頭をぐちゃぐちゃにしながら寝入りました。

日付が変わって深夜(4日未明)には、トランプがホワイトハウスで「率直に言うと、勝ったも同然」「ここで開票を止めるべき」と演説し、勝利宣言のようなものを行いました。


11月4日(水)開票2日目

朝起きてみると、少し状況が変わっていました。

まず、ラストベルトのウィスコンシン州ではバイデンの票がトランプを逆転していて、ミシガン州でもトランプとバイデンの票差がかなり縮まっていました。

ウィスコンシン州では、かなり僅差ではありましたが、お昼頃には大半の開票が終わったようで、バイデンの勝利確実が伝えられました。ただし、僅差(1%未満)のためにトランプ側が票の再集計を要求する意向とのことでした。

ミシガン州では、郵便投票の開票が進むにつれてバイデンの票がトランプを追い越し、さらに差を広げて、その日の夕方に勝利確実の一報が出ました。ウィスコンシン・ミシガンの2州をバイデンが取った(民主党が取り戻した)ことで、形勢は一気にバイデン有利に傾きました。仕事中気が気でなかった私も、ここでホッとしました。

そして、ラストベルトで一番激戦になると予想されていたペンシルベニア州では、上記の2州に比べて当初のトランプのリードが大きかったのですが、郵便投票が開くにつれてバイデンの票がどんどん伸び、トランプとの差を縮めていく展開に。それも、バイデン支持が多いフィラデルフィア等の都市部にかなりの未開票があるとのことで、バイデン陣営はペンシルベニアでの勝利に自信を持っていると伝えられました。

さらに、長年の共和党の地盤である南部のジョージア州でも、郵便投票の開票が進むにつれて、バイデンがトランプに追いついていきました。これはかなりの驚きを持って報じられました。

一方、前日夜バイデンがリードしていたアリゾナ州では、逆にトランプが少しづつ追い上げてきました。なぜ他州と逆のことが起こるのか不思議でしたが、アリゾナでは郵便投票の開票を事前に進めていて、今残っているのは事前投票(期日前・郵便)の中でも投票日直前に届いたものであり、ペンシルベニアやジョージアとは事情が違うとのことでした。アリゾナ州に関しては、AP通信やFox Newsが4日のうちにバイデンの勝利確実を出した一方、CNNなどはまだ出しませんでした。

その他、4日の時点で勝敗が確実になっていない州は、ノースカロライナ、ネバダ、アラスカ。ノースカロライナ州では、僅差でトランプがリードしていましたが、残りの票(投票日の消印でその後届いたもの等)の再集計は12日以降に行うとのこと。激戦州なのにそんなのでいいのか...

ネバダ州(選挙人6)では、僅差でバイデンがリードしていましたが、この日は集計が止まっていました。当局が混乱を避けるために速報を一時中断したとのことです。ここは前回民主党候補のヒラリー・クリントンが勝っているので、今回も何とかバイデンが勝てそうという予想です。

アラスカ州は、この時点であまり開票が進んでいませんでしたが、ここは共和党(トランプ)勝利がほぼ確実な州です。

そんな感じで、未決定の激戦州の票が開いていくのを見ながら、この日は終わりました。安心して眠りにつくことができました(笑)。