資産形成 〜 2021年振り返り

今週末(1月15日〜)のニューヨークは極寒で、最低気温が摂氏マイナス10度を下回りました...。雪も降っています。


さて、私の年始の恒例行事になっているのですが、昨年(2021年)一年間の自分の財務諸表のようなものを作成し、家計や資産形成の状況を振り返ってみました。具体的には、一年間の収入・支出・貯蓄・資産運用益(Income Statement)や、年末時点の純資産額(Balance Sheet)をまとめました。

ちょうど一年前にも、「資産形成〜2020年振り返り&FIREへの道」で同じ作業について書きました。これをブログで公開する目的は何なの?と言われそうですが(苦笑)、コロナ禍で先行きの不安が募る中、資産形成は私が特に真剣に取り組んでいることのひとつであり、もし自分が誰かのお役に立てるような情報を共有・発信できるとすれば、こういう内容ではないかな?と思ったからです。

また、FIRE(Financial Independence Retire Early)を目標にしているので、それまでの過程を記しておくことで、自分用の記録としてだけではなく、同じ目標を持つ方々にとっても参考になればいいなと思っています。有名な投資系のブロガーやYouTuberのように具体的な資産額を公表している訳ではないので、どこまで参考になるかは謎ですが...。その辺(公表度合い)も追々考えていきたいです。


家計(貯蓄)

2021年にはアメリカで経済活動の再開が本格化し、私の生活も通常モードに戻り始めたので、その分支出は2020年より増えました。

外食する機会も増え、食費(交際費を含む)は2020年より増えましたが、コロナ前と比べるとまだ低い水準です。その他の生活費では、通信(ネットやスマホ)費やジム会費などがインフレの影響を受けて上がりました。

また、久々にアメリカ国内を旅行したので、旅費にも若干費やしました。海外旅行には行きませんでしたが、今年こそ遠くへ旅したいものです。


一方、収入面では、2020年に会社の業績不振でボーナスも出なかった反動か、2021年には幸いなことに給与が増え、ボーナスも復活しました。

結果として、2021年を通じて貯蓄(=収入−支出)は順調に増えました。私の年間の貯蓄率(=貯蓄額/可処分所得)は約55%でした。私は、ニューヨークにせっか住んでいるのに何やってるの〜?と言われるくらい、慎ましやかな生活をしています...。

そして、貯蓄した分の約75%を投資に回しました。日本と同じく、アメリカでも銀行の預金金利はほぼゼロなので、もっと投資に回しても良かったように思います。投資に関しては以下で詳しく書いています。


コロナ禍が続く中、失業や収入減で家計が苦しい状態の人も多いでしょう。物価のインフレも家計にとっては悪影響です。その一方、アメリカ国内では物価と共に賃金も上昇傾向なので、家計の面で良い年だったという人も結構いるのではないかと感じています。


株式投資

2021年のアメリカの株式市場は、前年からの勢いを持続し全般的には上昇基調でした。以下は、アメリカの主要株式インデックスの一年間の変動を示すグラフです。

(Source: Yahoo! Finance

グラフの青がS&P 500、紫がNasdaq、水色がDow Jonesです。最も代表的な米国株式インデックスであるS&P 500の2021年の上昇率は、驚異の26.9%。アメリカの株式市場全体に連動する投資信託やETFさえ持っておけば、特に何もしなくても資産価値が上昇するような年でした。

その要因としては、アメリカの中央銀行である連邦準備銀行(FRB)が世の中に出回るお金の量を増やす「量的緩和」策を継続し、その資金が株式市場に流入したこと、また経済活動の再開が本格的し、各産業で需要の回復や雇用環境の改善が見られたこと、等々です。

しかし、2021年後半に入ると市場は不安定になり、9月や11〜12月にかけて株式インデックスも乱高下しました。需要に供給が追いつかず高インフレが続いているので、その抑制のためにFRBが量的緩和の縮小(いわゆるテーパリング)を決定したこと、さらに2022年に政策金利を引き上げる見通しであることが主な要因です。FRBの政策転換で、株式市場への資金が減少すると考えられるからです。中国経済の不安定化(中国恒大集団の経営危機)や、オミクロン株感染拡大による先行きの不透明感も、相場の悪化に影響したようです。

また、ここ数年市場を牽引していたのはGAFAM (Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)に代表されるような「グロース株」と呼ばれる成長銘柄でしたが、今は株価が割安とされている「バリュー株」と呼ばれる銘柄(主には伝統的産業の会社)に市場の注目が移っているようです。

このような市場環境はしばらく継続すると考えられていて、2022年の株式市場に対して悲観的な見方も多いですが、果たしてどのように動くでしょうか?


私自身は、2021年も長期・分散投資の観点から、米国株インデックスETF(具体的にはSPY、VOO)や高配当株ETF(VYM)を中心に定期的な購入を続けてきたので、米国株式市場のリターンの恩恵は受けたと思いますが、年末にかけて市場が不安定になり、黙っていても株価が上がるような楽観的状況ではなくなったことも実感しています。

先行きが不透明ですが、私は2022年も特に方針を変えることなく、インデックスETFや高配当株ETFへの投資を続けていくつもりです。また、グロース株に不利な相場が続くとは言われていても、社会経済の変革を牽引するような成長企業には期待しているので、長期的な目線からグロース株(半導体銘柄など)への投資も検討していきたいです。


仮想通貨投資(投機?)

私は、仮想通貨の代表格であるビットコインとイーサリアムを主に保有しています。

仮想通貨は、株式のように会社の事業から得られるリターンという価値の裏付けがある訳ではなく、将来への期待で価格が上がっているようなもので、値動きも荒く、現状では投資より投機対象という見方が強いです。私もまだその側面は否めないと思います。

ただし、2021年にはプロの機関投資家の仮想通貨市場への参入が本格化し、また自国通貨の信頼が低い国(エルサルバドル)でビットコインを法定通貨化するといった動きも広がっています。2021年10月にはビットコイン先物に連動するETFも上場し、仮想通貨を取り巻く状況は明らかに変わってきました。


仮想通貨市場全体の値動きとしては、2021年の4月辺りまで順調に上昇していましたが、5月になって反落し、ビットコインは一時最高値から約50%も暴落しました。イーロン・マスクがビットコインに対して否定的なツイートをしたことや、中国が仮想通貨のマイニングを全面禁止にしたことが影響しました。価格の上昇も下落も非常に激しいところが仮想通貨の特徴です。

7月末からようやく価格が回復基調に向かい、乱高下しながらも、11月頭にはビットコイン・イーサリアム共に史上最高値を更新しました。しかし、その後また下落基調になり、2022年1月に入っても上値を押さえられたような価格推移が続いています。

そろそろ反転が期待されるところですが、最近の仮想通貨は「リスク資産」として株式と連動するような値動きを見せており、FRBの金融政策(テーパリングや金利引き上げ)にも敏感に反応していて、株式市場と同じく今後に悲観的な見方があります。

それでも、2021年の年始と年末を比べてみれば、ビットコインとイーサリアムの価格は大きく上昇しました。私の記録(Coinbaseの価格に基づく)では、この一年でビットコインは約60%、イーサリアムに至っては約400%も上昇しています。


私は、そもそも仮想通貨のようなリスキーな資産クラスに多額の資金をつぎ込むのは怖いので、自分の金融資産ポートフォリオの1〜3%以下に抑えるつもりでしたが、値上がりのおかげで2021年末にはポートフォリオの9%を占める規模に増加しました。

ただ、価格の乱高下は心臓に良くないので...、時代の波に乗り遅れないように買ってみたという安易な理由でなく、ビットコインやイーサリアムがもたらす付加価値をちゃんと勉強して、どれだけ自分の資金をつぎ込むべきか、考えていかないといけません。

特に、イーサリアムについては、DeFi(分散型金融)・NFT・メタバースといった次世代サービス・データを支えるプラットフォームになる可能性があるらしく、まだまだ私の理解が追いついていないのですが(汗)、何だか面白そうでもあります。


2022年に向けて

まとめると、2021年に貯蓄と投資を通じて私の金融資産は順調に増えたものの、年末に向かってペースは失速しました。

2022年、テーパリングや金利引き上げを市場がどのように織り込んでいくか?インフレは抑制されるか?世界の実態経済が順調に回復していくか?等々、今後のマクロ経済の動向が自身の資産形成にも大きく影響することになりそうです。

不安定な相場が続く見通しもありますが、私自身としてはこれまでと同様に、長期・分散の観点から投資を続けて、FIREにさらに一歩近づけるようにしたいです。


ところで、一年前に私が書いた2020年振り返りのブログでは、自分の不安な思いを吐露していて、メンタルが弱っていたことを思い出しました(汗)。確かに、お金が増えたからと言って自分の不安や心配がすっきりなくなる訳ではないことは、今も痛感しています。保有資産が増えれば、別の悩みも生まれます。

それでも、金銭的余裕が心のゆとりに繋がるのもやはり事実。例え今職を失ったとしても、しばらく生活していけるかな〜と思えます。そういう心の余裕を持ちつつ、資産形成にも取り組んでいきたいものです。


最後に、資産形成の振り返りに加えて、2022年に実現したい目標についても色々と考えてみました。今年の一番の目標は子犬を飼うことです!お金のことをチマチマ考えてばかりだと疲れるので、心の癒しも欲しい今日この頃。ここに記しておいて、一年後に達成できたか確認したいと思います。