若者の質問に回答してみました

3.若いうちからお金を貯めた方がいい?お金で経験を買った方がいい?

この質問は私が誰かから直接聞かれた訳ではないのですが、ネットなどで時々目にするので自分なりに考えてみました。

貯金・投資のすすめ

「貯める」ことについては、自分のブログで資産形成などについて書いている人間ですから(笑)、やっぱり若い頃から貯金する習慣をつけて、ある程度貯まったら投資を始めることをお勧めします。投資には複利の効果があるので、始めるのが早ければ早いほど後の人生で複利の恩恵を受けることができます。

若い人にはまだまだ先の話に思えるでしょうが、これから控えている結婚、子供の出産・教育、住宅購入といった大きなライフイベントのために資金を準備しておいた方が良いですし、私達の寿命が長くなる中で年金にはあまり期待できそうにないなら、老後に備えて自分で資産形成をしておくことがますます重要になると思います。

大人として、収入の範囲内に支出を抑えて貯金するための家計管理スキルを身に付けること、さらに投資を通じて社会経済の流れについて勉強し、資本主義の仕組みを肌身で体得することも、まさに人生における大事な「経験」のひとつだと思います。

経験を買うとは?

そもそも、若い間にお金を貯めることと様々な経験をすることは、必ずしも相反することではないと考えています。

「若いうちに経験を買え」という文脈での「経験」とは一体どういうものでしょうか?例えば、バックパックで長期間の海外旅行に行くとか、飲み会や異業種交流会などに参加してネットワークを広げるとかでしょうか?

確かに、感性の豊かな若いときに様々な刺激を受けた方が良いことには同意します。(歳をとるほど感性も枯れていきますから...)前の質問で回答したとおり、私は海外へ行ってみることをお勧めしているので、海外旅行でお金を無駄にするな!などとは決して言いません。

ただ、大抵海外旅行は年に一度とかのイベントでしょうから、きちんと計画的にお金を貯め、やりくりして行くものだと思っています。今の時代はネットに飛行機やホテルの情報があふれていますし、自分調べてできるだけ安く済ます努力もできるでしょう。

それから、お金をそれ程かけずに人的ネットワークを広げることも十分可能だと思います。異業種交流会というものは私はよく知らないので敢えて触れませんが、無料か手頃な予算で参加できる会もあるでしょうし、高い会費を払った分それに見合う価値が得られるとは思えません。

前述の家計管理の話に繋がりますが、自分の金銭的余裕の範囲でできることを経験していけば、それで良いのではないでしょうか。

会社でできる経験

おそらく大多数の学生は、高校や大学を卒業したら会社に就職するのではないかと思います。

会社員になれば、その会社で特定の仕事やプロジェクトに携わることで、そこでしかできない「経験」をすることができます。業務に必要なスキルを研修で学ぶこともできるでしょうし、必要な資格があれば会社の補助制度を利用して勉強できる可能性もあります。(この辺は会社次第でしょうが。)給料をもらいながらたくさんの経験を積むことができるのは、会社に所属する大きなメリットです。

また、仕事を通じて社内の上司・同僚やクライアントと人脈を築くこともできます。

私自身の過去を振り返れば、自分が最初に就職した会社ではやりたいと思っていた仕事ができなかったのですが、それでも置かれた環境の中でもっと積極的に経験を積めば良かったという後悔もあります。一方、今でもその会社の同期や先輩と連絡を取っていますし、人生の財産とも言うべき大切な繋がりを築くことができたと思っています。

貯金が転機で役立つ

もちろん、会社に入ってみたけど仕事が面白くない、職場がブラック、人間関係が辛い、といった事情から、転職なり別の道を探すこともあるでしょう。そういう人生の転機で、「お金」が役に立つかもしれません。やりたい仕事をするために資格が必要だったり、新たに学校に行く必要があれば、その費用を貯金で賄うことできます。もし起業をするような場合でも、その立ち上げ資金や軌道に乗るまでの生活費を一部貯金で賄うことができるでしょう。

私も、最初の会社に勤めていた間に貯金や投資をやっていたおかげで、アメリカへの留学を実現することができ、そこから今に至ります。

ある程度のお金を蓄えておくと人生の選択肢が増えます。特に、人間の寿命がさらに延びると予測され、また世の中がかつてないスピードで変わっていく中、人生で自分のキャリアを変える・変えざるを得ない状況になったときに、貯金しておいて良かったと思えるかもしれません。

私のブログでも触れていますが、資産運用で生活費をまかなう仕組みを作って早期リタイアする生き方、いわゆる「FIRE」を目指すのもひとつの選択肢だと思います。若いうちからFIREを目指すことに対しては批判的な見方もありますが、私自身が目指している以上(!)批判はしません。私がもっと若いときにFIREのコンセプトを知っていれば、キャリアの選び方や資産運用への取り組み方もかなり違っていただろうなと想像します。

そうは言っても...

最後に、これまで述べてきたことが当てはまらない特殊な事例として、歌手、俳優、芸術家などを目指して、お金を貯める余裕もなく日々生きているような人もいます。かなりハイリスクな人生になるでしょうが、その道を進む覚悟がしっかりできている限りは、周りにとやかく言われる筋合いもないでしょう。

そんな生き方を好む人もいますし、実際ニューヨークにはアーティスト系の人がたくさん生活しています。そして、そういう人達は(側から見る限り)毎日何だか楽しそうです。

大勢と異なる道を進もうとしている若者に対して、周りの大人が「もっと真っ当な道を考えろ」とアドバイスをするのは昔からよくあることですが、それは大人なりの優しさかもしれない一方、そういう道に進めなかった人による大きなお世話であるとも言えます。後になって周りのアドバイスが正しかったという結果になるとしても、夢の実現に向けて頑張っている若者の意志をわざわざ挫くことは私はしたくありません。この歳になって、初心を貫徹してひとつのことを続けるのもひとつの才能だなぁ、と思うことがよくあります。


長くなりましたが、以上が自分の回答となります。どの問いに関しても最後は各々の考え方次第だと思いますが、若い方々の参考になれば嬉しいです。