噂の二人、ニューヨークへ …

3. 仕事とビザ

 K室氏のような留学生が卒業後にアメリカで働く場合には、就労ビザを取得する必要があります。様々なビザカテゴリーがありますが、最も一般的なビザはH-1B(高度な専門知識を要する職業のためのビザ)です。就職先がH-1Bをサポートすることになります。

 また、学生ビザ保持者が専攻分野と関連した仕事に一定期間(通常1年)就くことができる、Optional Practical Training(OPT)という制度があります。留学生が大学を卒業してから就労ビザを取得するまでに通常タイムラグがあるため、アメリカに残って働きたい留学生は卒業前にOPTを申請・保有しておいて、採用が決まったらH-1Bを申請し、ビザステータスを変更することになります。私がアメリカで就職した際も同様の手続きをしました。

 現在は、H-1Bビザの年間の発給上限を超える応募があった場合、無作為抽選が行われることなっています。ビザの取得が運次第になるというリスクがあります。

 K室氏の場合も、おそらくロースクール卒業に伴いOPTを保有していて、もしH-1Bの抽選に受かっていたら雇用先のサポートでH-1Bに切り替えたのではないかと想定します。大学院卒には優先枠があるので、多分大丈夫だろうと思いますが、もし抽選に受かっていなかった場合、K室氏夫妻がアメリカに滞在することが困難になる可能性もあります。


 それから、M子様がニューヨーク氏のメトロポリタン美術館などに就職されるのではないか?との憶測もあります。それを聞いて私がまず不思議に思ったのがビザの問題です。H-1Bビザ保有者の配偶者に発給されるH-4というビザでは、アメリカで働くことができません。

 とは言え、そういう噂があるということは、M子様が大学や大学院で専攻された博物館学の知識をもとに何らかの就労ビザを取得して、美術館や博物館に就職することができるのかもしれません。皇族出身の方ですから、ビザの特別枠や特別申請ルートがあったり、如何様にもなるのかもしれませんが...。


4. これからの生活

 何はともあれ、無事に結婚されたことですし、騒動の発端となったK室氏母の金銭トラブルも直前に解決したようなので、もう外野の騒ぎを気にせず(マスコミが放っておかなそうですが)、新たな気持ちで新天地での生活をスタートして頂きたいです。

 少なくとも日本に居たときよりは自由に出歩けるようになるでしょう。どんな格好をしていても特に驚かれない街ですから、M子様にも、朝寝間着のままコーヒーを買いに行ったり、ジャージを着てジョギングや散歩をしたり、週末にゲイバーに遊びに出かけたり(笑)、ニューヨーク生活を満喫してほしいなと思います。

 アメリカで暮らしていく中で、日本の素晴らしさ、日本の皇室の有り難み、そして、これまで皇族の一員としていかに恵まれた生活を送っていたかということを再認識されるかもしれません。海外で生活する大きな意義のひとつは、自分が生まれた国の良さ改めて発見できることだと思っています。


 ただ、コロナ禍以降アジア人に対するヘイトクライムが市内で増えていて、障害などの犯罪にまで至らなくても、見知らぬ人に突然怒鳴られるような事象が頻繁に起こっていると聞きます。特に、あくまで私が知る範囲ですが、アジア人の女性や老人が対象になることが多いようです。ニューヨークでもお二人の警備が依然続くのかは分かりませんが、身の安全には十分気をつけて頂きたいです。


5. 皇室への影響

 最後に、大変デリケートな問題ですが、この結婚騒動が皇室や皇位継承の議論に与えた影響について少しだけ私見を。

 私は幼い頃から日本の歴史が好きで、皇位継承にまつわる様々なドラマを学び、そうして現代まで連綿と続いてきた皇室に対して親しみを感じてきました。戦後、昭和・平成・令和の3代に渡って国民に寄り添い、象徴天皇としてのあり方を模索されてきた各天皇陛下にも深い尊敬の念を抱いています。

 ですので、今後の皇位継承についても大きな関心を持っているし、政治家にはこの問題を先送りせず、真剣に議論して早く方向性を示してもらいたいです。

 ところが、M子様とK室氏の結婚騒動は、皇位継承の議論や国民の皇室に対する支持に少なからず影響したと思います。男系男子による皇位を維持することが今後難しいと考えられ、女性宮家の創設や女系天皇容認の議論も出ていた矢先に、民間出身の男性が皇族となり、更にその子孫が天皇になる可能性に対する危惧が具体的なかたちで高まりました。

 一方、今回M子様はどうしても皇室を出たかったように報じられています。他の皇族の方々も同じように、その身分に精神的負担や息苦しさを感じられているのだとしたら、果たして日本国民はその責務を皇族に強要できるのか?そういった点から、皇室のあり方を改めて考えさせられるきっかけにもなりました。

 ただ、この一件のせいで脈々と続いてきた皇室の歴史が危うくなるようなことがあってはならないと思います伝統を壊すのは簡単かもしれないが、一度壊れたものを再構築することはとても難しいと言いますので、繰り返しになりますが、政治家には今後の皇位継承のあり方をしっかり議論してもらいたいし、各政党も皇位継承問題に対する具体的な姿勢を示してほしいです。


 というわけで、お二人ともお幸せに!