バレエ「 ジゼル」「シルヴィア」など


メトロポリタン・オペラハウスでは、オペラシーズン終了後の6月〜7月にAmerican Ballet Theater (ABT)の公演が恒例となっています。今年私は「ジゼル」と「シルヴィア」を観に行きました。「ジゼル」は二度目の鑑賞、「シルヴィア」は初見でした。

また、ニューヨークを拠点にしている5つのバレエ団(ABTを含む)の合同による「BAAND Together Dance Festival」というダンス公演も観に行ったので、その感想も併せてここで紹介したいと思います。

ジゼル

1. 基本情報

作品名:Giselle(ジゼル)
作曲: Adolphe Adam(アドルフ・アダン)
振付:Jean Coralli & Jules Perrot
バレエ団:American Ballet Theater
観劇日時:2025年6月21日 午後2:00 〜
劇場:Metropolitan Opera (30 Lincoln Center Plaza)

バレエ好きの人にはお馴染みの人気作品で、「ロマンティック・バレエ」の代表作と言われています。ちなみに、ロマンティック・バレエとは、19世紀のロマン主義の潮流の中で成立し、妖精や精霊が登場する幻想的な世界を描いている点が特徴とのことです。

私は2021年にABTの「ジゼル」を鑑賞した際に、このブログで感想などを紹介しています。

2. あらすじ

2021年のブログをご参照ください...。

3. 感想

幕の構成や舞台演出は、前回観た公演のものとほぼ同じだったと思われます。今回も安定のクオリティでした。

特に、舞台セットやダンサー達の衣装が色彩豊かで美しく、また第1幕の農村と第2幕の幻想的な森との対比が鮮やかでした。そして、全く同じ感想を前回のブログでも書いていました(笑)。

私が観た回の主演ダンサーは、ジゼル役がChristine Shevchenko 、アルブレヒト役がCalvin Royal IIIでした。Calvin Royal IIIという男性ダンサーは、後述の「シルヴィア」の公演でもたまたま主演だったのですが、素人ながら勝手な私見を述べると、彼の踊りには力強さがあるものの、(踊りというより)演技にどこか硬さがあったように思いました。好みの問題かもしれません。


シルヴィア

1. 基本情報

作品名:Sylvia(シルヴィア)
作曲: Léo Delibes(レオ・ドリーブ)
振付:Frederick Ashton
バレエ団:American Ballet Theater
観劇日時:2025年7月8日 午後7:30 〜
劇場:Metropolitan Opera (30 Lincoln Center Plaza)

フランス・バレエ音楽の父と呼ばれるレオ・ドリーブの作曲によるバレエ作品で、ギリシャ神話を題材にしています。私は恥ずかしながら、この「シルヴィア」という演目も、作曲者のドリーブのことも今回初めて知りました。

2. あらすじ

第1幕

貞節を司る女神ディアナに仕えるシルヴィアは、愛を拒み、愛の神エロスを嘲笑する。羊飼いのアミンタはシルヴィアに想いを打ち明けるが、純潔を誓うシルヴィアは怒ってエロスに矢を射る。アミンタはエロスを庇って矢に打たれ倒れる。エロスは反撃してシルヴィアに矢を放つ。シルヴィアは軽傷で済むが、エロスの矢によってアミンタへの愛に気付かされる。その様子を影で見ていた狩人オリオンは、シルヴィアを誘拐して連れ去る。

第2幕

オリオンは宝石や衣装でシルヴィアの気を引こうとするが、シルヴィアはアミンタを想って嘆く。シルヴィアはオリオンを酒で酔わせ、エロスに助けを求める。そこにエロスが表れ、アミンタがシルヴィアを探していることを伝える。二人はディアナの神殿へ向かう。

第3幕

シルヴィアとアミンタは再会を果たす。オリオンがシルヴィアを追いかけて来るが、女神ディアナは怒ってオリオンを殺す。ディアナは愛に陥ったシルヴィアにも怒りを向けるが、エロスの説得で二人の愛を認める。シルヴィアとアミンタは結ばれる。

3. 感想

私事ですが、あらすじを予習せずに鑑賞に臨んだので、登場人物の関係性やストーリーをきちんと理解できませんでした。改めてあらすじを読んでみても、神話が題材のせいかお話がいまいち頭に入って来ません...。

しかしながら、バレエとしては、振り付けがとてもダイナミックでジャンプなどの派手な動きも多く、華麗な音楽とも相まって、全幕を通して楽しむことができました。特に第3幕のパ・ドゥ・ドゥや群舞は圧巻でした。

細かい話は抜きにして、シルヴィアとアミンタの愛の物語である(途中でオリオンが邪魔に入る)ことぐらいが分かっていれば、鑑賞する上で大きな問題はないと感じました。

他のABTの公演と同様、舞台セットや衣装も素晴らしかったです。古代ギリシャ時代の衣装のおかげで、ダンサー達の体の躍動をよく見ることができました。

主演のシルヴィア役はCatherine Hurlinというダンサーでした。高度なテクニック、体力、そして表現力が要求される難役だと思いますが、勇敢な女の子が愛に目覚めていく姿を見事に演じていたと思いました。



BAAND Together Dance Festival

1. 基本情報

出演バレエ団(出演順):
– Dance Theater of Harlem;
– New York City Ballet;
– Alvin Alley American Dance Theater;
– American Ballet Theater;
– Ballet Hispanico

観劇日時:2025年7月29日 午後7:30 〜
劇場:David H. Koch Theater (20 Lincoln Center Plaza)

ニューヨークに拠点を置く5つのバレエ団が一堂に集まってダンスを披露する夏のお祭り公演です。7月29日(火)〜8月2日(土)の5日間、リンカーン・センター内のデイヴィッド・H・コーク劇場で開催されました。公演名の「BAAND」というのは、参加バレエ団の頭文字を繋げたものです。

チケットの推奨価格は全席35ドルでしたが、自分が払いたい値段を払って良い(Choose-What-You-Pay)という、とても気前の良いイベントでした。各バレエ団や様々な本面の協力で成り立っているようで、「芸術をより身近に」というニューヨークの心意気が感じられる良い企画だなぁと思いました。

私はチケット発売に乗り遅れてしまい、気付いた時にはどの日の公演も売り切れていたのですが、公演当日の開演2時間半前から劇場のBox Officeで無料の当日券(Rush Tickets)が入手可能なことを知り、当日の昼間から並んでチケットを入手しました。Box Officeにいた担当の人によれば、毎日100枚くらいの当日券が準備されているようでした。


2. 感想

5つの有名バレエ団のダンスが一度に見られる贅沢なイベント。それぞれのバレエ団の特性がよく表れていたと思いました。

世界的に有名なNew York City Ballet(NYCB)とABTは、どちらも男女2人のダンサーによるパ・ドゥ・ドゥでした。NYCBの方はスローな音楽に合わせて柔軟性と力強さを織り交ぜた踊りを見せてくれ、ABTの方は「これぞバレエ」と言うべき古典的なバレエを見せてくれました。どちらも1曲の短いパフォーマンスで、特にABTのダンスは正味3、4分くらいだったと思います。

Alvin Alleyは、マーラーの交響曲第5番第4楽章「アダージェット」(映画「ベニスに死す」に使用されていることでも有名)に乗せて、5人のダンサーが力強く高度な技術を披露してくれました。ダンサーの感情表現や一体感が他のバレエ団より感じられ、一番大きな歓声をもらっていたように思いました。

Dance Theater of HarlemとBallet Hispanicoは、どちらも10人位のダンサーが出演していて、その分迫力がありました。Harlemの方は振り付けも衣装もモダンバレエ的な感じで、Ballet Hispanicoの方はS&Mの女王様のようなダンサー(笑、男性だったかも?)を赤い髪のカツラのその他ダンサーが囲んで踊るというかなり個性的な演目でした。

この「BAAND Together」、毎年7月末頃に開催されているようなので、興味を持たれた方は来年チェックしてみてはいかがでしょうか。

ただし、敢えて言っておくと、各バレエ団とも一軍のダンサーを参加させている感じではなく、それぞれの演目も比較的短いもので、全て合わせて1時間くらいで終了しました。激安価格(もしくは無料)で見せてもらえる分、そういうものであることは念頭に置いておいた方が良いかもしれません。



この他にも、リンカーン・センターではオペラ・オーケストラ・バレエが夏休みの期間に、様々なイベントを企画しています。無料のものもあるようなので、ニューヨークにお住まいの方・旅行でいらっしゃる方は、興味を引くようなイベントがないかチェックしてみると良いと思います。