前回は家計管理について書きましたが、いくら家計簿をつけたって、そこから何か問題点が見つかったとき、具体的な対策に取り組まなければ意味がありません。
1. 貯金の目標
そもそも、 貯金を取り崩して生活をするというのは、支出>収入という状況な訳ですから、持続可能な生活が成り立っていることになりません。最低でもトントン、できる限りは月々貯金をしていける(収入>支出)ようにしたいものです。
とは言え、貯金するには何らかの目的がないとモチベーションが上がらないでしょう。具体的な目標(住宅購入、車購入、結婚資金、子供の教育費など)があると、あと何年後にいくら必要かというところから逆算して、貯金プランも立てやすくなります。もしくは漠然とした目標(老後の備え、心の平穏など)であっても、そのために目標額を設定しておく方が、貯金を続ける上では良いと思います。
手取り収入(可処分所得)に対してどのくらい貯金をした方がいいか?これは、年齢、家族構成、収入レベル、各人のスタイル(リスクの許容度)などによると思うので、一概には言えません。有名な億万長者(と言っても、私は最近まで知りませんでした〜)の本多静六さんは、自著の「私の財産告白」の中で、貧乏な頃から手取り収入の四分の一を貯金していたと書いています。
手取り月収の25%を毎月貯金していれば、単純計算で(給与上昇やインフレを考慮せずに)1年経てば手取り3ヶ月分相当の貯金、4年後には1年分相当の貯金ができます。さらに、この貯金をうまく運用できれば、かなり余裕のある家計になるのでしょうね。
私がニューヨークに移ってきた当初は、ひとまず手取り月収の20%前後の貯金を目指してみました。
では、貯金目標が決まったら、どのように支出を節約できるか、費目毎に考えてみたいと思います。
2. 住居費(家賃)
ニューヨークに来てから大きく増えた支出は、何と言っても家賃(Rent)です。日本で働いていたときは会社の寮に住んでいて、寮費がほとんどタダの状態だったので、当たり前なんですが。2019年8月時点の調べによると、マンハッタンのアパートの平均家賃は以下のとおり。
- Studio(日本でいうワンルーム)… ドアマンなしで月2,500ドル、ドアマン付で月3,300ドル
- One Bedroom(リビングルーム+ベッドルーム)… ドアマンなしで月3,300ドル、ドアマン付で月4,600ドル、
もちろん、マンハッタン内でもエリアによってかなり差は出ます。
ニューヨークでは、とにかく家賃をどう抑えるかが貯金の一番の鍵になります。通常アパートの家主は、月の家賃の40倍の年収を借手に求めると言われています。上記のドアマン付きStudioの例だと、$3,300 x 40 = $132,000の年収が必要ということに...かなり厳しい数字に見えます。
とにかく、お金の不安を減らすためには、無理のない家賃のレベルに抑えることが大切です。ニューヨークではルームメイトとアパートをシェアする人がとても多いですし、都心部から離れたエリアに目を向ければ、よりクオリティーの高いアパートに安い家賃で住めます。節約したいけど、どうしても都心部のエリアにこだわりがあれば、ドアマンなしの古目のアパート(第2次大戦前に建てられたPre-warアパートもたくさんあります)を探してみるとか。
私の場合、最初に結構ボロいStudio に2年住んだ後で、ドアマン付きのまぁまぁのOne Bedroomに移ったのですが、そこの居心地は良かったものの、貯蓄という点では当然ながらボロいアパートの時の方が貯まりました。
例えば、同じ会社の同じ職責の同僚が自分よりずっと高級なアパートに住んでいるとしたら、羨ましくなるのは自然なことですが、同じくらいの給料をもらっているはずだから自分の方がたくさん貯金できている!ことになります。金銭的余裕は精神的な余裕にも繋がると思います。
こちらでは、家賃は通常1年もしくは2年更新で、一旦契約してしまえば期間中は変えようがないので、後はその他の費用をコントロールする必要があります。
3. 食費
日々の生活の中で一番コントロールしやすいのは食費ですよね。でも、毎日何の食事の中で、例えば野菜や肉を少し安く買ったりしても、家計へのインパクトはそれ程大きくないように私は思います。もちろん値段を何も気にせず買うよりは良いでしょうが、質の悪いものを買って健康を損なってはしょうがないですし。一方、レストランに行って食べたりバーで飲んだりすると日本以上にお金がかかるので(チップもあるし)、外食の回数をコントロールする方がインパクトはずっと大きいと思います。
4. 通信費
ニューヨークではタイムワーナー(Spectrum)やベライゾン(Fios)のケーブルテレビ、インターネット、電話サービスに加入している人が多いと思います。この利用料は、契約して最初の2年間は色々なディスカウントが入って安いのですが、割引期間が終わればしれ〜っと値上がりし、黙っていると年々利用料が上がって行きます。ですので、値上がりしたら面倒でもケーブルテレビ会社に電話して、値下げのキャンペーンがないか、解約もちらつかせながら交渉してみる方がいいと思います。実際にサービスを解約し、別の会社と契約してディスカウントを受け、それを繰り返すという人もいます。今は、テレビなんて見なくていいという若者も多く、ネットのみ契約する人も増えていそうです。NetFlixやAmazon Primeといった定額サービスの選択肢もありますからね。
スマホ代については、私はあまり節約方法を知りません...もうスマホがないと生きていけないくらい依存しているので、特にスマホ代が高いとは思わいません。なるべく家や会社のWi-Fi を使い、データ通信量を抑えてプランの使用限度を超えないよう気をつけるくらいでしょうか。
5. 被服費
ニューヨークに引っ越した頃は、洋服に結構お金を遣っていました。職場に着ていくスーツ、シャツ、靴を買う必要もあったのですが、せっかくニューヨークに居るので少しお洒落な服を買いたいなんて気持ちもありました。しかし、年をとるにつれておしゃれへの興味も減っていくもので...、普段着はユニクロのようなファストファッションで十分と思うようになり、被服費は前より格段に減ったと思います。
最近のアパレル業界は、高価格帯の高級ブランドと低価格帯のファストファッションブランドに二極化して、その間に位置するような中価格帯がとても苦戦していると聞きますね。あまり服にお金を遣わなくなったのは、多くの人に共通の傾向じゃないかと思います。
6. その他
ニューヨークではジムに通っている人が多いです。ジムによって会費は大きく違いますが、どこに行くかは個々人のフィットネスに対する優先順位によると思います。私は今、会費高めのジムに行っていますが、そこは設備も良いし、ヨガ等のクラスもたくさんあるし、客層もフィットネスに意識の高い人が多いので気に入っています。週に3、4 回は通うし、今のところ元は取れているんじゃないかと思います。ただ、もし収入が下がるとしたら、ジム会費の削減は優先度が高いかもしれません。ジムによっては、月々の支払いを1年分、2年分前払いすることで、支払い総額を大きく減らせるところもあります。
私は、ミュージカル、オペラ、コンサート等に行くのが好きで、できるだけ定期的に出かけたいと思うのですが、こういった音楽イベントのチケット代はどんどん高くなっています。一方で、ディスカウントチケットを手に入れる手段も以前より様々あって、ディスカウントを提供するサイトやアプリに登録すると、随時情報を収集することができます。これはスポーツイベントなどのチケットでも同じだと思います。
と、節約の方法について思いつくまま書いてみました。貯金が増えていくと嬉しいですが、それを運用して増やしていくことができればなお嬉しいものです。また別の回で、私がこれまでやって来た投資についてもお話ししようと思います。