10月になりました...ニューヨークの今


あっという間にもう10月。ニューヨーク市では、日々気温が上下しながらも段々涼しく、肌寒くなってきました。

私の会社は少し珍しく9月30日が年度末なので、今月から新たな年度に入りました。まだテレワークが続いていて、先が見えない状況が続いています。


さて、10月4日時点のアメリカ・ニューヨークの新型コロナウィルス感染者数・死者数は以下のとおりです。

  • アメリカ合衆国:感染者  6,708,458、死者  198,520
  • ニューヨーク州:感染者     477,606、死者    33,116
  • ニューヨーク市:感染者     233,216、死者    23,743

(アメリカとニューヨーク州の情報はWorldometer、ニューヨーク市の情報はNew York Cityのサイトを参照。ニューヨーク市の死者数は、コロナが原因と確定された死者(Confirmed Deaths)と、コロナが原因と推定された死者(Probable Deaths)の合計。)

前回のブログに載せた9月13日時点のコロナ感染者数・死者数と比べると、大まかな感染の状況はあまり変わっていないようです。州によって違いはあるでしょうが、アメリカ全体での感染拡大の勢いはまだ衰えていません。

ニューヨーク州・市では、他州に比べると感染拡大のペースは抑えられているようですが、先週辺りからニューヨーク市のブルックリンやクィーンズの一部のエリアでクラスター感染が発生していて、引き続きSocial Distancingを守るように注意喚起されています。コロナの陽性率が高まっている地域に限定して、一部の経済活動(レストランの営業等)が規制されることにもなりそうです。


ニューヨーク市では、9月30日よりレストランでの店内飲食が一定の条件下で許可されました。その条件とは、収容率25%以下、入口での検温、利用客は連絡先を提出、テーブルを離れる際はマスク着用、、、等々です。様子を見ながら、収容率制限を緩和するかどうか検討されていくようですが、ほとんどのレストランで収容率25%以下では商売にならないという話も聞きます。

同時に、市内でのレストラン屋外席での飲食を恒久化し、1年を通して可能にすることも発表されました。現在多くのレストランでは、屋外席が車道の一部にはみ出すような形で設置されています。店内の収容率が制限されている以上、屋外席を引き続き設置できるようにすることは必要な措置なのでしょうが、これから寒さが厳しくなるこのニューヨークで、現実的にいつまで屋外での飲食を続けられるでしょうか...?

厳しい現状下で、悲しいことに市内での歴史あるレストランのいくつかが既に閉店してしまいました。今のままではこの傾向が続きそうです。


厳しいのは飲食業界のみならず、小売業界も同じです。9月10日には大型ディスカウントチェーンのCentury 21が連邦破産法を申請しました。

Century 21, Fabled New York Bargain Destination, Is Closing

Century 21は、ニューヨークの旅行ガイドブックにも載っていたりして、割引のブランド品やお土産を目当てに訪れていた旅行者も多かったと思います。私の住む近所にもCentury 21のストアがありますが、今は閉店セールで毎日入場の列ができています。

お店の前には「Going Out of Business!」の文字が...


その他にも厳しいのが、ニューヨークの特徴とも言うべき舞台や演劇のビジネスです。9月23日、メトロポリタンオペラが2020-21のシーズン(20年9月〜21年5月)の全ての公演をキャンセルし、次のシーズン(21年9月〜)までの閉鎖を発表しました。

The Metropolitan Opera Won’t Reopen for Another Year

再開の見通しがはっきりしない中、もし再開したとしても収容率が大きく制限されることになり、さらにオペラのファンは高齢者が多く感染した場合の危険も高いことから、今後1年の閉鎖を早々に決めてコストを削減するようです。これはとても残念なニュースです。ブロードウェイの劇場も、これからどうなるのか心配です。


コロナの収束の目処が立っていないとは言え、いつまでも経済活動の制限が続けば、上記の業界にとってコロナ前には戻れないほどの経済的打撃になってしまうし、そういう業界で働く人達の金銭的・精神的な苦しみも計り知れないので、個人的にはもう少し早く制限を緩和できないものか?と思い始めていました。

そんな折に、ニューヨーク市内でクラスター感染が散見され、これから冬に向かって感染がぶり返す恐れもある中、やっぱりまだ楽観的になってはいけないのかという思いもあります。色々な人と話してみて分かるのは、コロナに対する恐怖心は人によって本当に様々だということです。


そして、今アメリカでの(多分世界でも)最大の関心事は、何と言っても1ヶ月後に控えたアメリカ大統領選挙の行方です。9月29日には「史上最悪」とも言われた両候補の第一回討論会がありましたが、その後まもなくトランプ大統領がコロナウィルスに感染したという大きなニュースが発表されました。

最新の世論調査をいくつか見たところでは、アメリカ全体では民主党のバイデン候補がリードしていて、勝敗の決め手のなる激戦州の多くでもバイデン候補が僅差ながらも優勢という傾向のようです(調査元によって予想は異なります)。

ここに来て、コロナ対策を軽視してきたトランプ大統領自らが感染することで、政権の運営のまずさを露呈してしまった形となり、トランプ側にますます不利になるのでは?と言われていて、私自身の常識(!)から考えてもそう思います。一方で、トランプ氏への同情が出てくるとか、彼がコロナから回復すれば「コロナに打ち勝った!」というメッセージになり、選挙戦に有利に働くと言う人もいます。

私は、民主党が圧倒的に強いニューヨーク市に住んでいるので、自分の周囲にトランプを支持する人はほぼ皆無です。トランプの政策に反対する運動やBlack Lives Matterのデモに積極的に参加している人も結構います。なので、トランプの支持層の存在を想像しにくく、不思議にすら思います。そういう意味で、アメリカはとても広いな〜と感じます。

前回の2016年の大統領選でトランプがヒラリーを破ったときは、まさかの結果にかなりの衝撃が走りました。あのときは、もともと民主党の牙城と言われたウィスコンシン州・ミシガン州・ペンシルバニア州(いわゆるラストベルトと呼ばれる地域)の全てでトランプが勝利したことが決定打になりました。今回の世論調査を見ると、この3州の全てでバイデン氏がある程度の差をつけているようです。バイデン氏がこれらの州で勝てれば、伝統的な激戦州(Swing State)とされるフロリダ州やオハイオ州等の全てでトランプ氏が勝ったとしても、バイデン氏が勝利するのに十分な大統領選挙人を獲得できるという調査結果がありました。

とは言え、前回選挙でほとんどの世論調査の予想は外れましたから、何か起こるか最後まで分かりません...私自身は、自分としての意見はあるものの、アメリカでの選挙権はないので(市民権を持っていません)、選挙結果がどう転ぶのであれ、この国で生きていけるように対応していくのみです。


最後に、私のようにアメリカ(というかニューヨーク州)に住んている日本人にとっては重要な情報です。

9月28日、ニューヨーク州から出された行政命令によると、米国疾病予防管理センター(CDC)が分類する渡航健康情報がレベル3(ハイリスク)・レベル2(中程度のリスク)の地域からニューヨーク州へ移動する人に対し、到着後14日間の自主隔離と、利用便・滞在先などの情報を記したフォームの記入が義務化されます。フォームの記入を拒否した場合、罰則が科される可能性もあるとのことです。

Governor Cuomo Signs Executive Order Reminding International Travelers Coming from Level 2 & 3 Countries to Quarantine & Fill Out Travel Form

現時点で日本の渡航健康情報はレベル3とのこと。つまり、日本からニューヨーク州に移動する場合はこの命令の対象になります。

例年であれば、年末年始にアメリカから日本に帰国(帰省)する人がかなりいたと思いますが、今年はどうでしょうか?コロナの状況も規制も刻一刻と変わるでしょうから、渡航の際は十分に情報を収集して備える必要がありそうです。