久々のミュージカル観劇で、「A Beautiful Noise」を観に行きました。作曲家・歌手のニール・ダイアモンドのヒット曲で構成される、いわゆるジュークボックス・ミュージカルです。
ニール・ダイアモンドはアメリカ音楽界を代表するアーティストで、1960年代から長く活躍しており、Wikipediaによれば全世界で1億2千万枚以上の売上を記録しているそうです。
恥ずかしながら、私はその名前こそ聞いたことがありますが、どんな曲を作った人なのか正直よく知りませんでした...。ミュージカルのを観る前、予習のためにYouTubeでニールの曲をいくつか試聴してみたのですが、聞いたことあるかも?というのが少しある程度でした。世代の問題かもしれませんし、日本で彼の音楽に接する機会があまりなかったせいもあります。
1. 基本情報
作品名:A Beautiful Noise (The Neil Diamond Musical)
脚本:Anthony McCarten
監督:Ken Davenport and Bob Gaudio
作詞 / 作曲:Various Artists / Neil Diamond
観劇日時:2023年10月28日 午後2:00 〜 4:15
劇場:Broadhurst Theatre (235 West 44th Street, New York, NY)
https://abeautifulnoisethemusical.com/
ブロードハースト劇場は、約1200席がある中規模のブロードウェイ劇場です。劇場内のどの席からでも舞台は見やすそうです。
前のブログで紹介した「Some Like it Hot」の公演が行われているシューベルト劇場の隣にあります。どちらも20世紀初頭に建造されていて、かなり年季のの入った劇場です。
2. あらすじ
年老いて鬱になったニール・ダイアモンドが、心理セラピストとのカウンセリングを通して、ニールが作った数々の曲と共に彼の過去を振り返っていく。
NYブルックリン出身のニールは作曲家を目指す。まずモンキーズ等に提供した曲がヒットし、それから自分でも自作曲を歌うようになる。契約していたレコード会社との確執や最初の妻との離婚で辛い時期もあったが、それを乗り越えてヒット曲を次々に世に送り出し、大規模なツアーで世界中を回る。大スターになり、富も名声も手に入れたが、私生活を犠牲にして2人目の妻と離婚する。
これだけの成功を収めながら心は満たされず、パーキンソン病にかかってツアーもできなくなる。カウンセリングで孤独だった子供時代の記憶をたどり、ニールは今の自分自身を受け入れていく。
3.感想
やはり客層は高齢の人が多かったです。ニールの曲で青春を過ごした世代であろうおじさん・おばさん(おじいさん・おばあさん?)が曲に合わせて首を振り、一緒に口ずさんでいる姿はとても微笑ましかったです。特に、前半の最後で歌われた「Sweet Caroline」という曲が一番盛り上がっていて、アンコールでも歌われました。どうやらボストン・レッドソックスの応援ソングとして有名なようですね。本作のプレミア公演がボストンで行われたというのも合点が行きます。
一方、私にはニール・ダイアモンドの曲をほとんど知らないという問題がありました。やっぱりジュークボックス・ミュージカルを楽しめるかどうかは、その音楽にどれだけ慣れ親しんできたかによると思うので、ニールの曲は素敵で親しみやすかったですが、ノリノリの人達に囲まれながら私はいまいち入り込めませんでした...。唯一ちゃんと知っていたのは、バーブラ・ストライサンドとのデュエット曲「You Don’t Bring Me Flowers」でした。私が以前バーブラ・ストライサンドを好きだったからです。(この曲は、ニールと2番目の妻との離婚のシーンで歌われました。)
また、心理セラピーを通して彼のヒット曲と共に過去を振り返る、という構成は面白いと思ったのですが、その割にニールの内面に迫るわけでもなく、とにかくヒット曲のメドレーという印象でした。ミュージシャンとして大成功を収め、富も名声も手に入れ、3回も結婚して(笑)こんな幸せな人生ないんじゃない?と思えたし、もちろんその裏に成功者ゆえのプレッシャーや私生活での離婚の苦しみもあったでしょうが、それに感情移入はできませんでした。この辺が、壮絶な人生が綴られていたティナ・ターナーのミュージカルとは違うと感じました。
一番最後に、セラピーで子供時代の記憶を手繰り寄せるのですが、そこで彼の心の闇を解決する何かが見つかるのか!と思いきや、彼の中で何が起きたのか私にはよく分からないまま、ニールが今の自分を受け入れるようになります。(私が分かってないだけかもしれないので、誰か教えて欲しいです。)
偉そうに少し否定的な感想を書いてしまいましたが...、私がどう思おうと大勢の観客が楽しんでいて、このブロードウェイ公演も約一年続いているようなので、成功の部類に入るのではないかと思います。
キャストの皆さんは、歌もダンスも素晴らしかったです。若い頃のニール役を務めたWill Swensonは、ブロードウェイでは名の知れた俳優さんのようで、渋い低音でしゃがれた感じの歌声を響かせていましたが、ニールを意識して寄せていたのだと後になって分かりました。
4.Lottery Ticket
ブロードウェイ公演のチケットを安く買う方法は色々ありますが、抽選で翌日・当日のチケットをかなり安く買うことができるLottery Ticket(抽選チケット)という方法があります。もちろんLottery Ticketはその日の席の空き状況によります。
私はTelechargeというサイトの抽選で「A Beautiful Noise」のチケットの抽選に応募して当選しました。サイトから翌日の公演の抽選に応募し、もし当選したらメールで連絡が来て、5時間以内にチケットを購入するというシステムのようです(購入しなければ、応募した別の人にチケットが移る)。
実は、私は最近始まったバリー・マニロウの楽曲による「Harmony」というミュージカルに興味があり、その抽選に応募したつもりだったのですが、間違ってこの「A Beautiful Noise」をクリックしてしまい、そして当選したのでした(苦笑)。おかげで、知らないミュージカルに出会うことができたのは良かったです。
今度は「Harmony」を鑑賞して、感想をお知らせできればと思います。