4. ETF
株式のところで書いたように、個別株それぞれの価格変動は大きいのですが、複数の会社の株を持つことで変動リスクを分散して抑えることができます。また、株を持つ会社の数が増える程、そのリターンは市場全体のインデックスの動きに収斂していくことを考えると、インデックスに連動する投資信託に投資する方が、銘柄選びに手間暇をかける必要もなく楽になります。
実際、アクティブファンド(市場全体を超える運用リターンを目指すファンド)よりはパッシブファンド(市場全体と同じリターンを目指すファンド)の方が、長期的には良い結果を出しているという研究結果もあります。(チャールズ・エリス著「敗者のゲーム」など)
Exchange-Traded Fund(ETF)というのは、簡単に言うと上場されている投資信託のことで、株と同じように日中の証券市場でリアルタイムに売買できます。(投資信託は1日1回だけ価格が算定され、リアルタイムで買えない。)ETFの方が投資信託より信託報酬(運用してくれている人に払う報酬)も安めです。
私は、S&P 500インデックスに連動するETFを主に保有している他、セクターに特化した(ヘルスケアなど)のETF、REITのETF、高配当株のETF等を持っています。ここでもやっぱり、各ETFを合計したポートフォリオ全体で成績を考えたら、S&P 500のリターンと大して変わらなくなると思います。
これまであまり成績が良くなかったETFは、例えばEmerging Market(新興国)に投資するETFです。リーマンショックの震源地はアメリカだったのに、その後はアメリカ市場が一番順調に回復し、Emerging Marketを含む他地域の市場は時期によって不安定でした。今年に入ってからは米中貿易戦争の影響があり、世界全体で不安定な市況が続いています。
それから、金や銀のETFにも投資しましたが、これは全然ダメでした!私がETFを購入したタイミングは2010~2011年で、金・銀の価格が一番上がっていた頃でした。金は、市場の不安定期やドルが弱くなる時期にリスクヘッジとして人気になるため、株式市場が上昇を続けていた時期には反比例して価格が下降しました。2019年現在は、逆に市場リスクが高まっているおかげで金価格が上昇していますが、それでも私の持ち分はまだ購入価格を上回っていません。銀については、以前ロバート・キヨサキさんが「これから銀投資が良い」とか書いていたのを読んでETFを購入したのですが、その後銀価格が急落し、私のポートフォリオの中で最も損を出した投資になっています。どんな有名な投資家の言葉であっても鵜呑みにしてはいけないという教訓になりました。(ロバートさんはきっと良いところで売り抜けて儲かったのでしょう。)分散投資の観点からは、リスクヘッジの目的で金や銀に投資しておくのも良いかもしれませんけどね。
やっぱり、私の経験からおすすめできるのは、米国インデックスETFへの投資になります。
5. ソーシャルレンディング
ソーシャルレンディングとは、お金を借りたい人とお金を投資したい人をネット上で繋げてくれるサービスのことです。他の投資と比べると、ソーシャルレンディングをやっている人は、特に日本ではまだ少ないのではないでしょうか。アメリカのソーシャルレンディング会社の大手としては、Lending ClubやProsperなどがあります。会社により特徴・特性があるようですが、そんなに大きな違いはないんじゃないかな~と思います。
私は、定期預金よりもリターンが高めで、株式・ETF投資よりリスクが低いような、ミドルリスク・ミドルリターンの投資先がないものか探していて、ソーシャルレンディングを知りました。一番の大手と言われるLending Clubに口座を開いてみました。
Lending Clubが提供しているローンは、リスクが低い順にグレードA・B・C・Dの4つに分けられています。2019年10月現在では、例えばAの利率は6~9%なのに対し、Dの利率は19~29%くらいになっています。(以前はE・F・Gというグレードもありました。)借り手が支払う返済額のうち、基本的に1%がLending Clubに払うFeeとなります。各グレードの組み合わせ(割合)は、自分のリスク許容度に合わせて各自が決めることができます。
これだけ聞くと、かなり高いリターンが得られそうに聞こえますが、実際にやってみて分かったのは、ローンがCharge-off(貸し倒れ)になる割合が結構高いこと。高い利率は、高い債務不履行リスクを反映します。今のところ、全体のリターンは4~5%あたりです。それでも銀行の定期預金よりはずっと良いですけどね。
更に、2019年9月よりニューヨーク州を含む複数の州でLending Clubの新しいローンを買うことができなくなってしまいました(別会社のプラットフォーム上でローンを取引することは可能)。この制限が始まった理由や制限が解除されるタイミングについて、明確な発表はまだありません。(調べてみると、州法や規則に触れる何かがあったのでは?との噂がありましたが...)
そういった事情のため、今はあまりお勧めできません。上記制限がない州にお住まいであれば、検討してみていいかもしれませんね。
6. 暗号資産
2017年に高騰して話題になったビットコイン等の暗号資産(仮想通貨)は、今はまだ投資とは呼べず投機だと思います。値動きの要因が全く分からないので...利子配当がある訳でもないし、売り買いでキャピタルゲインを狙うしかありません。
私が暗号資産に興味を持ったきっかけは、日本国内の口座にある私の預金をアメリカの口座に安く速く送金できないかな~と思ったことです。銀行で国際送金をやったことのある人なら分かると思いますが、送金手数料がとても高く、送金に数日かかり、事前に送金先口座番号を送金元に登録しなければならないなど面倒な手続きもあります。その点、暗号資産だと手数料が安く、送金スピードもずっと速いことが分かったのですが、当時(2015年頃)は何だか得体が知れないものという印象だったので、結局手を出しませんでした。あの頃に買っていれば!
その後、2018年に暗号資産口座を開設して、ビットコイン・イーサリアム・リップルといった主要資産のみを少額で買っています。2018年末~19年頭にかけて暗号資産の価格が大きく下がっていたのですが、2019年春以降(令和になった頃)は大きく回復し、また夏に下がって、先の読めない展開が続いています。お小遣い程度の元手で、もし儲かればラッキーくらいに思っています。
7. 不動産
不動産と言っても、私の場合ただ自宅アパートを所有しているだけです...持ち家は投資とは言えず、ロバート・キヨサキの有名な著書「金持ち父さん 貧乏父さん」によれば、自宅を購入してもローンや維持費でお金が出ていくだけなので、自宅は資産ではなく負債だ!ということになっています。ただし、投資用不動産であれば家賃収入でお金が入ってくるので資産になる、と。
それから、持ち家と賃貸ではどっちがお得か?という一概には答えが出せないような議論も延々と繰り返されていますよね。
ここで大事な点のひとつは、自宅不動産の価値が将来上がるか?下がるか?ということだと思います。日本の場合、昔は地価が上がり続けていたので良かったかもしれませんが、バブル崩壊以降は地価も下がり、また建物の価値は時間とともに下がり続けますから、35年といった長期間に渡るローン返済が終わった頃には、ほとんど自宅の価値がなくなっていたということも珍しくありません。更に、ローン返済の途中で怪我や病気により収入が途絶えたような場合、ローンが払えずに自宅を手放さざるを得なくなった上、自宅の価値減少のためにローンの負債だけが残ってしまった、ということもあり得ます。
一方で、アメリカではリーマンショックの前後の時期を除いて、長期的には住宅価格が上がり続けており、特にニューヨークの場合、リーマンショックの影響は他州と比べて非常に小さかったようです。地震や天災が少ないこともあるかもしれませんが、ニューヨークでは非常に年季の入ったアパートがたくさん存在し、活発に市場で取引されています。
過去の傾向が未来も続く保証はないものの、ニューヨークの不動産(自分のアパート含む)価値がこれから急激に低下するとは考えにくく、あるタイミングで私がアパートを売って引っ越したいと思ったときは、価値が上がっている可能性の方が高いと考えています。
もう少し余裕ができたら、投資用の不動産にも挑戦してみたいとは思いますが...もっと勉強が必要です。
参考になれば幸いです。最後にお決まりですが、投資は自己責任で!!
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