ロックダウンから1年、ニューヨークの今


3月も後半になり、比較的暖かい日が増えてきました。

ちょうど一週間前、3月14日(日)の午前2時からアメリカでは夏時間(Daylight Saving Time)に切り替わりました。日本とアメリカ東部時間の時差は14時間から13時間になりました。(日米間で連絡する用事がある方はご注意くださいね。)

そして、3月20日は春分の日。日照時間がだんだんと伸びてきて、夕方も明るい時間が長くなり、気持ちまで何となく明るくなります。コロナのせいで生活の制限が続いている分余計に、春が待ち遠しく感じられます。


ロックダウンから一年

コロナ感染拡大で私の勤務する会社のオフィスが閉鎖され、自宅でのテレワークが始まってから、今週でちょうど一年が経ちました。全社員宛てに「大変な状況下でみんなありがとう!」みたいな一斉メールが送られてきましたが、オフィスが再開する目処はまだ立っていません。7月の独立記念日あたりには再開する予定という話も聞きますが、それまでにワクチンの普及も含めてコロナの状況がどう進展しているか次第だと思います。私の会社がやっている会計・税務といった仕事は、自宅からでも十分にできることがこの一年で分かったので、オフィスが再開しても昔と同じ様には戻らないでしょう。

一年前の私のブログを振り返ってみると、ニューヨーク州でロックダウンが始まったのは2020年3月22日だったようで、それから丸一年になろうとしています。

コロナショック!ニューヨークの様子

コロナショック!ニューヨークの様子 2

今読み返しながら、当時はコロナ感染の急展開に戸惑いながらも、まさかこんなに被害が大きくなり、社会・経済活動の制限が長期化するとは想像もしていなかったことを思い出します。

ロックダウンが始まった当初、マスクをしている人は少数派でした。今では街で見かける全員がマスクをしているので、状況も変わったもんだと思います。

また、ロックダウンの状況下で強いリーダーシップを発揮し称賛を集めたアンドリュー・クオモNY州知事が、高齢者施設での死者数隠蔽問題やセクハラ疑惑などで一転して批判されています。高齢者施設での死者数の問題については、州全体の死者数は変わらないらしいし(どこで死亡数をカウントするかの問題)、当時の混乱の中ではそういうこともあるかなと思ったのですが、州の高齢者施設への対応にも問題があったようで、少し複雑です(ここでは詳しく書きませんが)。セクハラ疑惑に関しては告発が相次いでいて...、本人は行為の意図は否定しつつも謝罪しています。共和党だけでなく身内の民主党からも辞任要求が高まっていて、かなり窮地に立たされています。もともと、クオモ州知事とデブラジオNY市長(同じ民主党)との間ではコロナやBlack Lives Matter運動への対策を巡って色々と確執があったようですし、民主党支持者の中でも特にリベラル寄りの人にはクオモに批判的だった人も多いみたいで、結構敵が多い人だったようです。


再開するニューヨークの今


ニューヨーク市での感染者数や死者数は減少傾向が続いています。1ヶ月以上前になりますが、2月12日から市内のレストランでの店内飲食が収容人数の25%以下という制限で再開されました。そして、今は収容人数の50%以下まで許可されています。

2月23日からは、大型スタジアムでのスポーツ観戦も再開されました。こちらは収容可能人数の10%が上限だそうです。さらに、観客にはイベント前の72時間以内のPCR検査での陰性証明、マスク着用、体温検査などが義務付けられるとのこと。観戦に行く準備はまだ結構大変そうです。

3月5日からは、市内の映画館も一年ぶりに再開されました。レストランと同じように座席数の25%以下という制限付きでした。

ブロードウェイミュージカル等は、まだ再開が認められていません。今のところは2021年6月以降の予定らしいです。

個人的なところでは、自分が通っているジムで、3月22日から各クラス(ヨガ、ピラティス、クロスフィットなど)が再開されるとのお知らせがありました。ジムによっては既にクラスを再開しているところもあり、どういう違いで時期がずれるのか分かりませんが、何れにせよ段階的に通常モードに戻りつつあります。


また、1月から始まっていたワクチンの接種も、ピッチを上げながら進行中です。ニューヨーク市の以下のサイトで現時点のワクチン資格対象者を確認できますが、3月に入って60歳以上の全員と様々な対面業務の従事者が対象に入りました。

https://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-vaccine-eligibility.page

ニューヨーク市在住のジャズピアニスト(元シンガーソングライター)大江千里さんがワクチンを接種した際の体験記を書いていて、日本でもニュースになっていたみたいです。

私は受けられるのはいつになるか...?バイデン大統領は、ワクチン接種が順調に進めば独立記念日の7月4日には「COVID-19から独立できる」と言っていましたが、その辺りまでに接種できればいいかなと思っています。


Stop Asian Hate

それから、今触れなくてはいけないと思ったのが、全米各地で頻発しているアジア人へのヘイトクライムと、それに抗議する「#StopAsianHate」の運動の広まりです。

特に、今週ジョージア州アトランタ周辺で8人が銃殺される悲しい事件が起こり、そのうち6人がアジア系の女性だったことで、アジア人への人種差別問題が大きく提起されています。

新型コロナの感染がアメリカに広まり出した頃、その発生源が中国の武漢だったことから、アジア人へのヘイトクライムが増え始めました。(中国人、韓国人、日本人など、判別できないですから。)ニューヨーク市内でも事件が散発していたし、実際自分の知り合いにも、地下鉄の中で突然「コロナ!」とか「チャイナに帰れ」とか言われたり、街中で執拗に絡まれたりした人がいます。

トランプ前大統領が、新型コロナを「チャイナウィルス」などと公言したことが原因のひとつだとも言われています。前大統領がその発言を繰り返す前からこういった事件は起きていたと思いますが、彼の発言が反中(アジア)の感情を煽ったことは確かだろうと思います。

私自身は、この一年の間に人種差別的なことを言われたり、何か被害を受けたりしたことがないので(単に気付いていなかっただけかもしれません)、正直こんなにアジア人への反感が広がっていると言う実感がありません。自分が被害を受けていないからピンと来ない、などと言うのはあまりに想像力が欠如していますが...、悲しいと同時に正直戸惑っていて、一体何ができるのかと思う自分がいます。

コロナ禍での社会の鬱屈したものが、こういった人種差別や憎悪といった形で噴き出しているかもしれませんが、今後も続いていく問題なので、折に触れて状況の進展や自分の思いについて記していければと思っています。



暖かい週末

この週末は暖かくなり、公園やお店には大勢の人が集まっていました。

レストランやバーは飲んでいる若者で混雑していて、「ちょっと密になってないか?」と感じましたが...、春らしい気候なってそうなりたい気持ちも分かります。