- October 30, 2019
FIRE 〜 経済的自由を求めて
皆さんは「FIRE ムーブメント」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立・早期退職の実現を目指すムーブメントが、欧米のミレニアル世代(1981年〜1996年生まれ)を中心に広がっているようです。 詳細を紹介しているサイトは色々とありますが、Wikipediaによれば、 FIREの目的は、生涯の支出を賄うのに十分な不労所得を得ること。 FIREを達成するための方法は、収入増や支出減を模索しながら、意図的に貯蓄率を最大化すること。(手取り収入の50%以上とか!) FIREムーブメントの支持者は、退職後の資産の取り崩しに関して「4%ルール」を提案しており、推定年間生活費の少なくとも25倍の貯蓄目標を設定している。(取り崩すというより、4%の運用利回りで元本を崩さずに生活していく、という目標のようですが。) 経済的独立を達成すると、労働所得は付属的となり、標準的な定年よりも数十年早く退職が可能になる。 とにかく、若いときにがむしゃらに働き、できる限り節約して貯蓄を増やし、さっさとリタイアして経済的に自由になろう!ということです。必ずしも、リタイア後の贅沢で悠々自適な暮らしを目指すものではないようです。 2011年に始まった「Mr. Money Mustache」というブログが、FIREムーブメントを広める大きなきっかけになったとのこと。結構前から始まっていたんですね。 かなりの収入がある人じゃないと、FIREを目指すのは難しそうに思えます。実際、貯蓄が可能なレベルの収入は求められるでしょう。ですが、各人の性格(リスク許容度)、生活スタイル、住む場所、家族構成などによって、必要となる貯蓄額は大きく変わってきます。 日本社会に長く根付いてきた年功序列・終身雇用への信仰も、もはや過去のものになりつつあります。最近では、多くの大企業が人員削減のために早期退職者を募集しています。アメリカでは、そもそも年功序列・終身雇用という考え方が一般的でなく、転職や解雇はいたって普通に行われています。 将来の安定した雇用も賃金の上昇も期待できない、不安定・不透明な世の中に、各個人がどう対応していけばいいか。それなら、若いうちに貯められるだけ貯めて、雇用先に振り回されない経済的自由をできるだけ早く獲得しよう!という考えは至極真っ当に思えます。 一方、人間の寿命が延びていく中で、定年退職の年齢が60歳、65歳、70歳とどんどん引き上げられ、長く働き続ける(老後を短くする)ことで老後の生活資金を準備・確保しなければならないとも言われます。そのためには、時代の変化に対応できるよう常に新しいスキルを身に付けていく必要がある、と。このような生き方は、FIREムーブメントとは相反するように聞こえますね。 ただ、FIREは必ずしも完全なリタイア生活を目指すものではなく、お金のために働く必要がなくなっても、好きな仕事はもちろんやっていい訳です。働き続ける生き方だって、延々と同じ会社にしがみつく・嫌々同じ仕事をやり続けるとかではなく(そんなのは無理でしょう)、自分がやりたいと思える仕事をできるだけ長く続けていくことを目指すものだと思います。違うアプローチのようで、目指しているところはそんなに違わないのかもしれません。 以前の投稿でも書いたように、私が家計管理や投資に取り組むようになったきっかけは、日本からアメリカ・ニューヨークに移住し、大きく生活環境が変わったことで金銭的な不安があったからです。いつまでにいくら貯めたいという具体的な目標もなく、ただ漠然とした「不安」を取り除きたかったのですが、日々の生活を重ねる中で、就労のストレスや不安から解放されたいという思いも次第に生まれてきました。だから、FIREムーブメントの存在を知ったとき、何とも言えぬ共感が湧き上がったのです。 […]