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音楽

  • April 27, 2025

ミュージカル「Hell’s Kitchen(ヘルズ・キッチン)」鑑賞

ミュージカル「Hell’s Kitchen」は、シンガーソングライターのアリシア・キーズの楽曲によって構成された、いわゆるジュークボックス・ミュージカルです。 2023年10月にオフ・ブロードウェイで初演され、あっという間にオン・ブロードウェイへの格上げが決まったようです。2024年4月にオン・ブロードウェイでの公演が始まった頃から、私の周り(ミュージカル好き)でも話題になっていました。 アリシア・キーズについて簡単に触れると、2001年に発表したデビューアルバム「Songs in A Minor」がすぐに大ヒットとなり、セカンドアルバム「The Diary of Alicia Keys」(2003年)、サードアルバム「As I Am」(2007年)も続けてヒットし、アメリカR&Bシーンを代表するシンガーの一人になりました。 日本にいた頃からR&B・ソウル系の音楽が好きだった私は、アリシアの最初の3枚のアルバムも持っていて、よく聴いていました。「As I Am」は、ちょうど私がニューヨークに住み始めた頃発売されたのを覚えています。以後しばらくアリシアの音楽からご無沙汰していましたが、このミュージカルについてはぜひ観てみたい!と思っていました。 2024年6月に開催された第77回トニー賞授賞式では、「Hell’s Kitchen」から「Empire State of […]

  • April 19, 2025

ミュージカル「Sunset Blvd.(サンセット大通り)」 鑑賞

2024年10月からミュージカル「Sunset Blvd.」 のブロードウェイ公演が始まりました。 1950年の映画「サンセット大通り」をミュージカル化したものです。映画はビリー・ワイルダー監督、グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン主演で制作され、ハリウッド映画の歴史を代表する名作のひとつとみなされています。 アンドリュー・ロイド・ウェバーの音楽によるミュージカル版は、1993年にロンドンのウェストエンドで初演が行われ、翌年にニューヨークのブロードウェイでも初演されました。現在行われている公演は2回目のリバイバルです。 私は子供の頃からクラシック映画が好きで、「サンセット大通り」も何度も見ていますが、そのミュージカル版がある(それもアンドリュー・ロイド・ウェバー作)こと自体、本公演が始まるまで恥ずかしながら知りませんでした…。 ブロードウェイミュージカルに詳しい知人は、1994年の本作のブロードウェイ初演を観たとのことで、主演のグレン・クロースや豪華な舞台演出が素晴らしかったそうですが、対して今回のリバイバル公演はシンプルな舞台とミニマリズムな演出で少し残念だった、と言っていました。 一方でポジティブな感想も聞いていたので、あの映画がどんな風にミュージカル化されているのか、楽しみに鑑賞しました。 1. 基本情報 作品名:Sunset Blvd.作曲:Andrew Lloyd Webber作詞・脚本:Don Black and Christopher Hampton監督:Jamie Lloyd劇場:St. James […]

  • December 29, 2024

ミュージカル「Death Becomes Her」 鑑賞

最近始まったミュージカル「Death Becomes Her」を観に行きました。 1992年に制作された同名映画がミュージカル化されたものですが、このタイトルにピンと来なくても、邦題「永遠に美しく」と聞けば、「あぁあれ!」と思い出す方も多いのではないでしょうか。ロバート・ゼメキス監督、メリル・ストリープとゴールディ・ホーン主演で、美と若さに対する女性の執着を描いたブラックコメディ映画です。 2024年5月からシカゴでミュージカル公演が始まり、11月にニューヨーク・ブロードウェイでの公演がオープンしたばかりです。 個人的な話ですが、今年の3月だったか、私がよく受けていたフィットネスクラスのインストラクター(男性)が急に辞めることになり、その理由が「Death Becomes Her」のダンサーの一人に選ばれたのでシカゴの公演に出演するためとのことでした。本人も嬉しそうで、クラスの参加者みんなで拍手で祝福しました。 ブロードウェイの公演が始まったら私も観てみたいなと思い、楽しみにしていたのですが、本公演のキャスト一覧には彼の名前がありませんでした。どうやらシカゴ公演の後キャストから外れたようで、残念...。 1. 基本情報 作品名:Death Becomes Her作詞作曲:Julia Mattison and Noel Carey 脚本:Marco Pennette監督・振付:Christopher Gattelli劇場:Lunt-Fontanne […]

  • September 2, 2024

ミュージカル「The Notebook」 鑑賞

ニューヨークの今年の夏は、かなり涼しい日が続いています。 そんな中、「The Notebook」というミュージカルを観に行きました。ブロードウェイでは2024年3月から公演が始まっています。同タイトルの小説が原作で、2004年には映画化もされています(邦題は「君に読む物語」)。私の周りからは結構良い評判を聞いていたので楽しみでした。 1. 基本情報 作品名:The Notebook(ノートブック)作詞作曲:Ingrid Michaelson 脚本:Bekah Brunstetter監督:Michael Griff and Schele Williams劇場:Gerald Schoenfeld Theatre (236 West 45th Street, New York, […]

  • August 8, 2024

バレエ「白鳥の湖」「ロミオとジュリエット」など

毎年6月〜7月にかけて、メトロポリタン・オペラハウスではAmerican Ballet Theater (ABT)による’バレエ公演が行われます。今年もいくつかの公演を観に行きました。 「白鳥の湖」 1. 基本情報 作品名:Swan Lake(白鳥の湖)作曲: Peter Ilyich Tchaikovsky(ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー)振付:Kevin McKenzie after Marius Petipa and Lev Ivanovバレエ団:American Ballet Theater観劇日時:2024年7月3日 午後2:00 〜 […]

  • July 27, 2024

ミュージカル「Illinoise」「Water for Elephants」など

2024年6月16日に第77回トニー賞の授賞式が行われました。授賞式で披露されたパフォーマンスを見て興味を持ったミュージカル作品の中から、「Illinoise」と「Water for Elephants(サーカス象に水を)」という新しいミュージカルを観に行きました。どちらも今年の最優秀作品賞にノミネートされました(惜しくも受賞はならず)。 ここ最近、色々なミュージカルやダンスパフォーマンスを観ているのですが、ブログに感想を書くのが追いつかず...、ここでは二つの作品の感想を合わせて紹介します。 「Illinoise」 1. 基本情報 作品名:Illinoise作詞作曲:Sufjan Stevens 脚本:Justin Peck and Jackie Sibblies Drury 監督・振付:Justin Peck 劇場:St. James Theatre (246 W 44th […]

  • June 10, 2024

オペラ「オルフェオとエウリディーチェ」鑑賞

メトロポリタン(メット)・オペラで「オルフェオとエウリディーチェ」というオペラを観劇しました。一般的にはそんなに知られていないオペラだと思いますが、私も観るまで名前すら知りませんでした。18世紀にドイツで生まれ、オーストリアで活躍したグルックという作曲家によるオペラの代表作だということです。 このオペラで特筆すべきことのひとつは、カウンターテナー(女性の声域を持つ男性歌手)が主人公のオルフェオ役(男)を演じる点です。本作が初演されたときは、カストラートと呼ばれる去勢された男性歌手がオルフェオ役をやったそうです。以前「カストラート」という映画を観た方もいるかもしれませんが、近代以前(17〜18世紀頃)のヨーロッパではカストラートはかなり人気を博したようです。もちろん現在カストラートは人道的観点から廃止されています。 最近私がYoutubeを見ていると、このオペラのコマーシャルが何度も流れてきたこともあり...興味が沸いたので観てみることにしました。 なお、私が観に行った6月8日の公演は、メット・オペラの2023〜2024年シーズンの最終公演でした。 1. 基本情報 休憩なしで2時間弱の比較的短いオペラです。 2. あらすじ 登場人物は、オルフィオ、エウリディーチェ、愛の神の3人。とってもシンプルなお話です。 オルフィオは、妻エウリディーチェの死を墓前で嘆き悲しみ、何とか生き返らせたいと祈る。愛の神が現れ、彼が妻を連れ戻すために冥界に行くことを許すが、地上に戻るまで決して彼女を見てはならない、という試練を与える。 冥界に入ったオルフィオは死霊たちに取り囲まれるが、竪琴と歌で彼らを静める。遂にエウリディーチェを発見すると、その姿を見ないように手を取って地上へ向かう。 エウリディーチェは夫が自分を見ようとしないことに不安を抱き、ついて行くことを止める。オルフェオは耐え切れずに振り向いて妻を見てしまい、その瞬間エウリディーチェは絶命する。オルフェオが絶望し自ら命を絶とうとすると、再び愛の神が現れ、「真の愛が示された」としてエウリディーチェを生き返らせる。二人は抱き合って喜び、神に感謝する。 3. 感想など 音楽 グルックがこのオペラを作曲・初演したのは1762年とのことで、今も頻繁に上演される人気オペラ(モーツアルト、ワーグナー、プッチーニ、ヴェルディなど)と比べると少し古いですが、それが私には逆に新鮮に感じられました。 時代的にはバロック時代の後期に属していて、楽器にチェンバロが使われていたり、確かにバロックっぽい響きも感じました。一方で、以降のモーツアルトの音楽に見られるような古典派を彷彿とさせる部分もありました。 カウンターテナーというと、私にはアニメ「もののけ姫」の主題歌を歌った米良良一さんがまず浮かびますが、女声の音域でありながら男性の声質という、何とも言えぬ不思議な(もののけ的な、笑)印象を持っていました。 今回実際に聞いてみると、オルフィオ役を演じたカウンターテナーのAnthony […]

  • February 11, 2024

オペラ「カルメン」鑑賞

2024年のオペラ鑑賞第一弾として、メトロポリタン・オペラ(メット)による「カルメン」を観に行きました。 オペラに詳しくない人でも、オペラ「カルメン」の前奏曲や有名な歌をきっとどこかで聞いたことがあるはずだと思います。また、「カルメン」という女性の名前を聞けば、真っ赤なドレスを着た情熱的な女性のイメージを連想するのではないかと思います。 今シーズンからメットの「カルメン」は新しいプロダクションになるとのことで、どんな感じか楽しみにしていました。が、かなり現代風に演出されることが分かり、車に乗って挑発的に睨むカルメンの宣伝写真を見て、少し心配になりました... 1. 基本情報 2. あらすじ オリジナルの「カルメン」の舞台は19世紀のスペイン、セビリア。 第1幕 タバコ工場で働く女工のカルメンは男達に人気がある。衛兵のドン・ホセだけは彼女に興味を示さないが、カルメンは彼の気を引こうとする。カルメンは他の女工と喧嘩騒ぎを起こして捕えられるが、衛兵ホセを誘惑して手縄をゆるめさせ、逃げ去る。 第2幕  カルメンが酒場で仲間と歌い踊っているところに、闘牛士のエスカミーリョが現れ、カルメンに一目惚れする。カルメンを逃がした罪で牢に入っていたホセは釈放され、カルメンに会いに酒場へ行く。カルメンはホセにジプシーの密輸団の仲間になるように誘う。ホセは軍を脱走し、ジプシー達の仲間に入る。 第3幕 密輸団にいるホセのもとに婚約者のミカエラが訪ねてきて、故郷のホセの母が重病だと伝える。ホセはカルメンのことを思いつつも、母のもとへ帰る。移り気なカルメンの心は彼から離れ、再会したエスカミーリョに移る。 第4幕 闘牛の当日、闘牛場前の広場でカルメンとエスカミーリョは愛の言葉を交わす。その後、カルメンの前にホセが現れて復縁を迫る。カルメンは彼を相手にせず、以前もらった指輪を投げ捨てる。ホセは激昂してカルメンを刺し殺す。 ただし、今回のメットの演出では、舞台は現在のアメリカ南部。カルメンと仲間の密輸団は大きなトラックで旅していて、エスカミーリョは闘牛士でなくロデオのスター!になっていました。あらすじ自体は概ね同じでした。 3. 感想 珠玉の音楽 […]

  • January 21, 2024

ミュージカル「Harmony」鑑賞

「Harmony」というミュージカルを観に行きました。 2023年10月にオン・ブロードウェイでの公演が始まった比較的新しいミュージカルです。以前のブログでミュージカル「A Beautiful Noise」の鑑賞記を紹介した際にも触れたのですが、「Harmony」が始まった頃から私は観てみたいなと思っていました。 1920〜1930年代にドイツのベルリンで活躍した男性コーラスグループの実話に基づいており、音楽はシンガー・シングライターのバリー・マニロウによって作曲されました。とは言っても、バリー・マニロウのヒット曲によるいわゆるジュークボックス・ミュージカルではなく、彼がこの作品のためにオリジナルの曲を書き下ろしています。 1. 基本情報 作品名:Harmony (A New Musical)脚本・作詞:Bruce Sussman作曲:Barry Manilow 監督:Warren Carlyle 劇場:Ethel Barrymore Theatre (243 West […]

  • January 14, 2024

オペラ「魔笛(The Magic Flute)」鑑賞

メトロポリタン・オペラ(メット)によるモーツァルトの「魔笛」を観に行きました。私にとって2023年最後のオペラ観劇でした。 メットでは、毎年12月末(クリスマス〜大晦日)に全編英語で2時間弱に短縮された「魔笛」の公演をやっています。子供達も楽しめるようファミリー向けに改編されたものです。メットと同じリンカーン・センターの敷地内にあるDavid H. Koch劇場では、年末恒例のバレエ「くるみ割り人形」の公演をやっており、年の瀬のリンカーン・センターは家族連れの観客で溢れ返っています。 「魔笛」は、モーツァルトが人生の最後に完成させたオペラであり、よく知られた歌も複数あって、人気のオペラのひとつとなっています。 1. 基本情報 この短縮版は休憩なしのノンストップですので、注意が必要です! 2. あらすじ 舞台は古代エジプトのとある国。主な登場人物は6人です。 ①王子タミーノ ②タミーノにお供するパパゲーノ ③タミーノと結ばれる娘パミーナ ④パパゲーノと結ばれるパパゲーナ ⑤パミーナの母、夜の女王 ⑥夜の女王と敵対するザラストロ 以下は簡単なあらすじです。(上記のとおり、この短縮版公演は2幕に別れていません。) 第1幕 王子タミーノは大蛇に襲われるが、夜の女王の侍女3人に助けられる。通りかかった鳥刺しのパパゲーノは、助けたのは自分だと嘘を付くが、侍女達によって口に鍵を掛けられる。 […]