2024年の日本帰国と免税手続き


2024年8月に日本へ一時帰国しました。

数年前の夏に帰国したとき、あまりの蒸し暑さに「もう夏には帰国しない!」と心に決めていたのですが、やっぱりお盆の頃が家族や友人に会いやすいということで、また真夏に帰国することにしたのでした。

そして、想像どおり日本の蒸し暑さは猛烈でしたが...、移動する時間以外はあまり屋外に出ないようにして、なんとか乗り切りました。滞在中に台風が日本に接近してヤキモキもしましたが、幸い自分の旅程に大きな影響はありませんでした。

天候はともかく、家族・親戚や友人と再会してお互いの近況や昔話を話し合うのは貴重でかけがえのない時間でした。



さて、今回の一時帰国で初めて免税の手続きをしました。

日本国籍を持ちながら海外に居住する「非居住者」は、外国人観光客と同じように日本で買い物をした際に消費税が免税されます。日本帰国時に大きな買い物をする予定がある方は、免税制度を活用した方がお得になります。

以前は結構簡単に免税の手続きができたらしいのですが、2023年4月1日以降は、2年以上海外に居住していることを証明する書類が必要になりました。

観光庁のホームページに免税制度の詳細説明がありますが、ここでは自分の実体験を踏まえ、また備忘録も兼ねて免税手続きを記録しておきたいと思います。

1. 免税手続きに必要な書類

免税の対象となる日本の非居住者は、2年以上引き続き海外に居住していることを証明する必要があるのですが、具体的には以下の2つのうちいずれかの書類を用意する必要があります。

  • 在留証明書...居住先の海外の在外公館で発行されている証明書です。免税手続きのためには、「住所(又は居所)を定めた年月日」及び「申請者の本籍地」 欄について地番まで記載されたものが必要です。申請手数料は、アメリカの場合2024年現在で9ドルです。
  • 戸籍の附票...自身の過去の住所が記載されている公的書類で、本籍地の市区町村から取り寄せることができます。免税手続きのためには、本籍地の地番まで記載がされたものが必要です。手数料は2024年現在で300円です。

書類は、日本に入国した日から起算して6ヶ月前の日以降に発行されている必要があります。


私の場合、本籍地が両親の住む実家と同じなので、実家に帰ってすぐに役所へ行き、戸籍の附票を取りました。ニューヨークの日本領事館も私の家から結構近いので、領事館で在留証明書を取得することもできましたが、手数料の点では日本で戸籍の附票を取る方がずっと安上がりでした。

人によってそれぞれ状況が違うでしょうから、海外の居住先から大使館・領事館が遠くて在留証明を取るのが大変な場合は戸籍の附票、逆に日本帰国時の滞在先から本籍地が遠くて戸籍の附票を取るのが難しい場合などは在留証明を取ると良いかと思います。

注意点として、在留証明書に「本籍地の地番」の記載を希望するには、地番を証明する公的文書が必要なため、戸籍謄(抄)本を日本から取り寄せる必要がありそうです。(以前の日本の運転免許証には本籍地が地番まで記載されていましたが、今はなくなっています。)

前もって免税手続きの準備(どちらの書類を取得した方が良いか)について考えておくと、帰国直前になってから慌てなくて済みます。


2. 免税の対象となる物品

必要書類を準備してようやく免税手続きができるようになりますが、何を買っても免税の対象になる訳ではなく、以下の制限があります。

  • 一般品(洋服、鞄、靴、家電製品、宝飾品など)...同じ店舗での当日の購入合計金額が税抜きで5000円以上。
  • 消耗品(商品、飲料、化粧品、医薬品など)...同じ店舗での当日の購入合計金額が税抜きで5000円以上50万円以下。また、消費されないように指定された方法で包装されていること、30日以内にその品を携帯して日本を出国することが必要です。開封、使用した場合は消費税が課せられます。


ちなみに、一般品と消耗品を合わせて5000円以上買えば良いということではなく、あくまで別々に計算するようです。

できるだけ同じ日に同じ店でまとめて商品を買うようにするとお得になります。


3. お店での免税手続き

今はインバウンドの外国人観光客が多く来日していますので、免税対応(Tax Free)のお店もかなり多くなっています。お店によって免税手続き専用レジもあるようです。


手順としては、お店でお会計をする際に免税手続きをしたいことを店員に告げて、あとは店員の指示に従って必要書類の提示と書類の記入を行えば良いだけです。提示するのは、①日本入国時の日付スタンプが押印してあるパスポートと、②上記の必要書類(在留証明書もしくは戸籍の附票)です。

(なお、日本入国時に自動化ゲートを通過した場合、何も言わなければパスポートにスタンプを押してもらえません。免税を利用したい場合は、入国ゲートのところにいる係員に必ずスタンプを押してもらって下さい。)


私は、最初に地元のユニクロでの買い物で免税手続きをしたのですが、少し会計に時間がかかったものの問題なく済みました。会計の際に消費税を除いた金額を支払いました。

それから、地元福岡の百貨店と東京を訪れた際の百貨店(高島屋)でも免税手続きをしましたが、その時はまず個別の店舗で普通に(消費税込み)で会計を済ませ、その後百貨店内の免税コーナーのような場所に行って手続きをし、消費税(ただし手数料が若干差し引かれる)を返金してもらいました。


4. 出国時の手続き

国税庁のホームページには、免税品について「出国時に税関にパスポートと購入物品を提示してください。」「スーツケースなどに入れて機内預けとする場合には、航空会社へ預ける前に必ず税関の確認を受けてください。」という記載があります。

大抵の場合免税で購入した物をスーツケース等に入れて預けると思うのですが、みんなその前に税関のチェックを受けているのか?それをどこでやっているのか?というのが疑問でした。


私が調べたところでは、実際の運用として税関は免税品をくまなくチェックしておらず、保安検査を通った後の税関ブースでパスポートをスキャンして終わりとのこと。たまに「免税品を開封していませんか?」と聞かれることもあるが「いいえ」と答えればOK、ただ免税購入金額が大きい場合は指摘されることもある、という情報もありました。


私は羽田空港から出国したのですが、念のため、スーツケースを預ける際に空港(航空会社?)の係員に「免税品がスーツケースに入っているが事前にチェックを受ける必要がありますか?」と聞いてみました。その係員は「大丈夫ですよ〜」みたいな返事をくれましたが、日本人ではなかったようで、私の質問の意味を正確に理解していたのか分かりません...。

結局そのまま荷物を預け、出国の税関ブースでパスポートを提示し、何事もなく済みました。私は購入金額がそれ程大きい訳でもなく、まぁこんなものかと思いました。

後でさらに調べてみたところ、羽田空港第3ターミナルの出発ロビーに「情報ひろば羽田」という場所があり、そこで係員に免税品のチェックについて尋ねたら、係員が出てきてパスポートをスキャンしてくれた(パスポートを見れば購入品がわかるとのこと)、との体験談がありました。

第3ターミナルに「情報ひろば羽田」があったかどうかは全く覚えていません。次回、出国時にきちんと免税品の確認を済ませて安心したいのであれば、利用してみてもいいかなと思いました。

5. 最後に

以上、海外在住の方が一時帰国される際の参考になれば幸いです。

ちょうどこれを書いているときに、免税制度が2026年度に変わるというニュースを見ました。出国時に持ち出す購入品を確認して消費税分を返金する方式へ移行するとのことです。訪日客が免税で買った物品を出国前に転売して利益を得る不正が相次いでいたらしく、確かに今の制度では色々と問題があるのでしょう。

訪日客新免税、26年度実施へ 出国時に購入品還付、政府、与党

この返金方式はEU諸国で採用されています。かなり前のことですが、私がヨーロッパの国で買い物をした際、出国時に空港の免税カウンターのようなところで購入品のレシートを見せて、税額分(手数料差し引き後)を還付してもらいました。返金手続きのためにすごく長い列が出来ていて、搭乗に間に合うか心配になった記憶があります。(今は手続きの手順も変わっているかもしれません。)

日本の空港で同じような返金手続きを行うとなると、その手間に対応できるだけの人手が税関にあるのかという懸念があります。免税の利用者は、かなり時間に余裕を持って空港に行く必要が出てくるかもしれません。